伝統と革新を織りなす輪島塗の未来‐震災からの復興と新たな挑戦

石川県輪島市で生まれた伝統工芸「輪島塗」。会津塗(福島)、紀州塗(和歌山)にならぶ日本漆器の一つとして、海外からも高い評価を受けている伝統工芸品です。輪島塗は「堅牢優美」と評されていますが、その理由は、輪島市でしか採れない良質な土が漆器や耐熱性を強固にする特性を持ち合わせており、100以上の製造工程を専門職人の手を経てひとつひとつの漆器を仕上げていることが、美しい仕上がりの実現に繋がっています。

能登地域では、お祭りの日や大勢の親戚などを家に招く日に使う器として使用されており、その耐久性の高さから親から子世代、孫世代へ受け継がれていく特別な品となっています。

現代のインテリア・アート業界における輪島塗

近年、輪島塗は現代のライフスタイルにも適合するアート作品としても注目が集まり、生活スタイルの変化に合わせた、モダンなデザインの製品も製作されています。
ほか、英国王室御用達のブランド食器と輪島塗がコラボレーションをするなど、伝統的な奥ゆかしい工芸品としてのみでない新しい挑戦が続けられています。

能登半島震災を受けて

昨年に発生した能登半島地震は、石川県輪島市にも甚大な被害をもたらしました。輪島塗も例外ではなく、多くの工房が損壊し、職人たちの生活と製作活動が一時的な停止を余儀なくされました。伝統工芸品の職人離れが全国的に加速する中で、震災を受けて廃業や職人が地域を離れていく厳しい現状がありました。そんな中、地域の復興と伝統を守りたいと願う地元自治体や支援団体をはじめとする全国からのサポートがあり、被災した3か月後には仮設工房の設置がなされるなど、職人たちが制作活動を再開できるような環境が整いはじめたといいます。

また、震災を受けてやむを得ず手放すこととなってしまった輪島塗の漆器を、とあるボランティア団体では譲り受けて復興のためのチャリティー販売を実施し、収益金を能登との復興のために還元していく取り組みなども実施されました。

復興を願って

能登半島の震災から1年。まだまだ、復興への険しい道のりが続く中で、地域を守ろうとする能登の絆の強さを再確認させてもらいました。
GARDEの創業40周年記念贈答品では地域創生・復興の支援の1つとして持ち手に輪島塗を使用したワインストッパーを採用いたしました。
この先も輪島塗の美しさと伝統を未来に受け継がれていくことを願い、伝統文化継承の重要な産業を担っている作り手の皆さまを応援しています。

田谷漆器店さんからのコメント

輪島塗は、国の重要無形文化財に指定されており、その製造工程や素材はしっかりと定められています。細分化された工程を、それぞれのプロが作り上げる事で、クオリティーの高い漆器ができるという考えの元、職人が力を合わせて一つの製品を作り上げています。天然漆の触り心地の良さ、見た目の美しさ、世界中のどんな塗料よりも優れていると思っています。お手に取る皆様に、漆芸の魅力を感じて頂けますと幸いです。

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