残暑も落ち着き、徐々に本格的な秋が到来してきました。
秋といえば、どんな秋を思い浮かべるでしょうか。スポーツの秋、読書の秋、食欲の秋・・・。もう1つ外せないもの、それは芸術の秋です。
そこで今回は関東の美術館建築をご紹介します。その立地を活かしたコンセプトが魅力の建築を集めてみました。
過ごしやすいこの時期に美術館へ足を運び、素敵なアートや空間に触れてみてはいかがでしょうか。
目次
茨城県天心記念五浦美術館(茨城県)
那須芦野・石の美術館STONE PLAZA(栃木県)
群馬県立館林美術館(群馬)
川越市立美術館(埼玉県)
市原湖畔美術館(千葉県)
SOMPO美術館(東京都)
ポーラ美術館(神奈川県)
1.茨城県天心記念五浦美術館(茨城県)
岡倉天心がこよなく愛したといわれる五浦海岸に茨城県天心記念五浦美術館は位置し、岡倉天心や横山大観をはじめとする五浦の作家たちの優れた作品が鑑賞できる場所として開館しました。館内や展望台からは美しい海岸の景色を一望できます。
建築設計は数多くの公共施設を手掛けた内藤廣氏。デザインの見どころは、なんといってもメインエントランスから見える存在感のある梁です。細いプレキャストコンクリートを使用した梁はトラス状に組まれており、美しく迫力があります。
2.那須芦野・石の美術館STONE PLAZA (栃木県)
もともとは大正~昭和初期に建てられた石蔵を建築家・隈研吾氏の設計により再建した石の美術館。栃木県内でも有数の石の産地である那須町芦野に位置し、その土地や近隣で採掘された芦野石・白河石が使われています。建物はいくつかの空間で構成されており、外の光が透けて見える空間は独特な組石積の部屋となっています。また日本で初めてつくられた石造りの茶室は必見です。そのほか、定期開催されている企画展示のギャラリーから石の歴史や採掘・仕上げ方法などを学ぶことができる学習室など、すべて石で造られた石尽くしの空間に心が躍ります。
画像提供:PIXTA
3.群馬県立館林美術館(群馬県)
「自然と人間の関わり」という美術館のテーマにふさわしい立地として選ばれた群馬県館林市多々良沼。北に多々良川、南東に湿地、南西に水田が美術館を囲っています。空間を分節する線を最小限にするため、石・アルミ・ガラス・水などの素材を活かしできるだけ単純化させた設計は、周辺の自然豊かなランドスケープと見事に一体となっています。
フランソワ・ポンポンの展示品が飾られた別館は、フランス、ブルゴーニュ地方の農家をイメージし造られており、ヨーロッパの屋根瓦と石灰岩の乱積みによる外観はスタイリッシュな本館とは全く異なる佇まい。建築好きには一挙両得な美術館です。
4.川越市立美術館(埼玉県)
歴史ある街並みが残る土地、川越に位置する川越市立美術館。周辺には川越城本丸御殿や二の丸跡地に建てられた市立博物館が並びます。建物のデザインには川越蔵造りの商家をイメージさせる外観に仕上げられています。漆喰の白壁や和瓦を用いることにより周辺環境との調和を意識しつつも、現代的な素材を混ぜ入れることで蔵造りに新しさが加わっています。
少し足を延ばせば、小江戸川越一番街の通りへ出ることができ蔵造りの町並みを堪能できます。歴史歴な建造物を学びたい方へおすすめです。
画像提供:PIXTA
5.市原湖畔美術館(千葉県)
千葉県一の貯水面積を誇る高滝湖のほとりに佇む自然豊かな美術館、市原湖畔美術館。「首都圏のオアシス」をコンセプトに、地域に根差し、子どもたちが楽しめ、新鮮な体験ができる場所を、1995年に開館した観光・文化施設のリノベーションという形で美術館として誕生させました。
既存建物のユニークな骨格を生かし、アートウォールと名付けた鉛めっき鉄板の壁を挿入することで様々な空間を作り出しています。周辺には展望塔やレストランもあり、自然の中でアート作品に触れながら、建築の不易流行を感じる。まさに五感で楽しむ美術館ではないでしょうか。
6.SOMPO美術館(東京都)
SOMPO美術館は、国内損害保険事業を中心に展開するSOMPOグループが1967年に社会貢献の一環で開館し、アジアで唯一ゴッホの『ひまわり』を鑑賞できる美術館として知られています。2020年の移転時にその外観や空間を一新。建物をひとつの彫刻のようなアートとして捉え、柔らかな曲線と曲面をデザインに採用しています。エントランスはガラスのカーテンウォールでできており、幅約16 m、高さ約8 mのゆるやかな弧を描いたガラスは、街並みの景観と建物内をつなぎ透明感のある開放的な美術館を演出しています。
7.ポーラ美術館(神奈川県)
神奈川県箱根町の森の中に佇むポーラ美術館は、ポーラグループの前会長であった故鈴木常司氏が40年に亘り収集した9,500点余ものコレクションを展示しています。「箱根の自然と美術の共生」というコンセプトのもと、森の木々を越えないよう建物の高さは8mに抑えるなど、自然景観の保存を第一に考え美術と自然の調和を表現。光と緑をたっぷりと感じる館内を作るため、たくさんのガラスを用いて緻密に計算されています。そのため地下にいても自然光が館内に差し込み、箱根の自然をアートとともに堪能することができます。
画像提供:PIXTA
関東の美術館建築をご紹介しました。
アートと建築空間を感じ「芸術の秋」の攻略にお役立ていただければ幸いです。
<出典>
https://www.tenshin.museum.ibk.ed.jp/01_annai/01_gaiyou.html
http://www.stone-plaza.com/information/story.htm
http://www.gmat.pref.gunma.jp/index.html
https://www.artagenda.jp/museum/detail/76
https://lsm-ichihara.jp/about/
https://www.sompo-japan.co.jp/csr/culture/museum/
https://www.polamuseum.or.jp/nature/architecture/