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社長の室が語る、GARDEの軌跡と未来への革新 #1

2025年で創業40周年を迎えるGARDEはこれまでホテルからデパート、リテール、オフィスまで幅広い分野のプロジェクトに向き合い、自社が誇るデザインを磨いてきました。築き上げたノウハウを活かしデザインを通じて社会問題にも取り組むべく、常に新しく挑戦し続けています。

今回は社長の室がGARDEの軌跡と未来へ向けたビジネスモデルについてご紹介します。

日本デザインの美学から紐解く、デザイン会社のあるべき姿

日本のデザインはミニマリズムに代表され、シンプルで計算し尽くされた要素が上位を占めます。重要な要素は4つあり、1つ目は伝えるべき明確なメッセージ、2つ目は機能性を保ちつつシンプルであること、3つ目は見た目の美しさ、そして最後に持続可能性です。

特に、住宅や病院などの大規模な建築物の場合、持続可能性という要素は非常に重要です。大規模な建造物は長持ちするものであり、時代を超越したデザインが求められます。シンプルなデザインに高い機能性を持たせることで、建造物自体が持続可能なものになるのです。

当社がデザインを担当するラグジュアリーブランドや百貨店に関していえば、商品そのものが主役であることからインテリアデザインはシンプルに設計しています。このシンプルさが商品をより引き立ててくれますが、日本の美学的な要素ももちろん残すように工夫しています。各チームは、それぞれの美学の中に日本らしい価値を見出し、デザインを完成させていきます。

私たちはクライアントの要望と私たちの強みである豊富な専門知識により重きを置き、クライアントの立場に立つデザイン会社でありたいと考えています。

多様なワークスタイルとオフィスデザインの関連性

COVID-19のパンデミックにより、リモートワークやハイブリッドなワークスタイルの概念が大きく変化しました。より集中すべき仕事はリモートワークというスタイルを採用し、共同作業やアイディア共有のためにオフィスを活用するという考え方があります。一方で、パンデミックの終息に合わせ、生産性を高めるためにオフィスに人を集め、オフィス自体の機能性を充実させる事例も増えています。

私たちのクライアントにも同様のワークスタイルを採用した事例があります。生産性を高めるためには、コミュニケーションこそが重要な要素であり、このコミュニケーションという要素を基軸に、新しいオフィススタイルを創造する必要がありました。

特にデザイン的な概念としては、一人一人のスペースが広がり、ハイブリッドな新しいワークスタイルが可能になった、ということです。この新しいワークスタイルを理解することは、クライアントのために空間をデザインする上で不可欠です。インテリアデザインとは、特定の美的要素を理解することよりも、人々がどのようにスペースを使うかを理解することだと考えます。

ABW(アクティビティ・ベースド・ワークプレイス)とは、目的や業務内容に合わせて、自由に働く場所や時間を選択できる働き方を指し、近年非常に重要な概念となっています。企業の業務内容は、その企業でどのようなワークスタイルを導入すべきか定める要素となります。私たちの仕事はそれをヒアリングし、空間づくりに反映させることです。コピー機までの歩行距離など、細かいところまで生産性を上げるために緻密に計算していきます。休憩室もこの点では重要で、ドリンクコーナーだけでなく、ビリヤードやピンボールを活用しスタッフのモチベーションを高め、快適に過ごせる空間を整える事例もあります。

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優れた汎用性を持つ「竹」の変幻自在な用途とは

強度、耐久性、多用途性の観点から見ても非常に優秀な素材として認知されている「竹」は長く日本産業を支える重要な資材でもありました。
環境負荷の少ない素材として世界から注目を集める竹の有益な活用事例についてお伝えしていきます。

竹が建築素材に最適なわけ

竹材と聞くと東南アジアの竹建築を思い浮かべる方が多いかもしれません。実際に竹は、温暖湿潤な東南アジアを中心に生育する植物です。そのため東南アジアを中心に作られる美しい竹建築は、その土地の歴史を感じさせながらも近代的な要素を見事に取り込んでいます。

タイ北部のチェンマイにあるパンヤデンインターナショナルスクールに作られバンブースポーツホールは最適な例のひとつです。そのモダンで有機的なデザインとサステナビリティに基づいた建築から竣工から7年経った今でも多くのファンを魅了しています。

近代的な要素を残しつつ、土や竹でできた周辺校舎や自然環境との調和が設計条件であったこの施設では、建築素材に竹を使用することで上記の課題をクリアしながら二酸化炭素排出量も抑え、よりグリーンな施設を生み出すことに成功しています。

出典:https://www.archdaily.com/877165/bamboo-sports-hall-for-panyaden-international-school-chiangmai-life-construction

継承され続ける日本の伝統工芸品

日本でも一部地域を除き幅広く育ってきた竹は、長年にわたり建築資材や生活用品、工芸品、竹炭などに利用されてきました。しかし近年では安価な代替資材の誕生や竹の消費量が減少、また管理が行き届かない放置竹林も年々増加したことで、従来の日本の竹職人たちも減少傾向にあります。
一方で、その地で築かれた伝統を守り抜くために職人たちは力強く紡いでゆくのです。

現代の日本で多くみられる伝統的な竹の使用用途は、竹を加工し、竹ひごを編み込んで作る工芸品が主です。経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定されている竹工品は7つの地域で製作されています。日本ならではの繊細さを感じる竹細工も、地域によって製作種類や編み方は異なります。それぞれを見比べてお気に入りの竹細工を見つけてみるのも面白いかもしれません。

アートにもなるハイレベルな竹細工技術

前述の通り、日本の竹細工はその繊細さと優美さが世界的に見ても高く評価されています。200以上の編み方を操り作り出される竹細工は、今や空間を彩るアートとしても使われています。

京都で活動する工芸作家が作り出すのは、竹ひごを用いて描き出す繊細な模様の竹細工。「六つ目編み」というシンプルな編み方に、糸のように細い竹ひごを刺しゅうのように細かく編み込み、花柄のデザインを生み出しています。

廃材を活用した新たな未来へ

竹の使い道は現在も進化し続けています。
処分されるはずの竹を活用し竹紙を生産する企業や、それをさらに活用し、竹紙ストローやハンガーなどの様々なアイディアを生み出す取り組みが近年活発に行われています。
同様に廃材を活用した取り組みとして、デザイン性の高い家具を製作する企業もあります。
このように従来の用途にとらわれない手法で竹は大切な資源として活用されています。

サステナブルな素材として世界から注目を集める竹材。
強度や耐久性を兼ね備えながらしなやかに曲がる竹材は建築のみならず、私たちの生活をより豊かにするために、日用品として、またアートとして、身近に多く使われています。
その竹材を活用したアイディアにまだまだ目が離せません。

GARDEが手掛けたSThree株式会社のオフィスデザインが「MUSE Design Awards 2024」「The IPAX Asia Pacific Property Awards 2024」にてダブル受賞達成

GARDEが2022年に担当させていただいたSThree株式会社のオフィスデザイン。
SThreeはSTEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学)分野に特化したロンドン発グローバル人材紹介会社です。

STEMの先進的なイメージにクライアントのルーツである西洋と日本の伝統的なデザインの融合をコンセプトにした空間が完成しました。



SThreeオフィスデザインに関する記事はこちら

GARDEでは、物件デザインが完成した後も、その空間やデザインの素晴らしさを広めることを目的に、毎年デザインアワードへのエントリーを欠かさず行っております。
以下にて今回受賞したアワードの概要をご紹介します。

MUSE Design Awards 2024

引用元:MUSE Design Awards 2024

アワードについて
MUSE Design Awardsは、クリエイティブとデザインのプロフェッショナルを顕彰するため世界中から約40名の審査員による審査が行われる、2015年に設立されたアワード。
主催のInternational Awards Associate (IAA)は、新しい才能や既存の才能の発掘と評価を通して業界を前進させることに深くコミットしている。

受賞内容
タイトル:GOLD
カテゴリー:Interior Design – Office

The IPAX Asia Pacific Property Awards 2024

引用元:International Property Awards

アワードについて
International Property awardsは、不動産・不動産業界のあらゆる分野で活動する企業による最高レベルの業績を称えるため設立。英国をはじめとした、アジア太平洋やアフリカ、ヨーロッパなどの9地域に分かれ開催され、あらゆる不動産分野をカバーする経験豊富な専門家チームによって審査される。

受賞内容
タイトル:Winner
カテゴリー:Office Interior

最新のアワード受賞情報はGARDEニュースレターにて配信しています。
その他、ニュースレターではGARDEが担当した竣工物件のご紹介や各国のトレンド情報、デザイン・アートに関する情報など、幅広くお届けします。ご登録はこちら

モダンアート市場の活況による価格上昇トレンドと購入の奨め

購入価格から800倍の16億円の事例も。空間計画の要素、モダンアート価格が高騰中

GARDEで手掛けるレジデンスやホテル、ラグジュアリーリテールのプロジェクトにおいて空間計画の1要素としてモダンアートを用いる事は少なくありません。
今、そのモダンアートが高騰しています。

最近のニュースでは「福岡アジア美術館」所蔵作品の価格が高騰し、購入時の800倍の16億円に値上がりした作品もあります。他の未展示の所蔵品も軒並み値上がりし、展示の新たな目玉になり得るであろう、それらは展示場所の不足から一般公開ができないという事態になっており、解決策としてWEBサイトでの展示も検討されています。この場合、鑑賞体験の価値においてはモニター越しよりもVRゴーグルなどの使用でより没入感のあるメタバース美術館の活用は有効かもしれません。

出典:COCOWARP

価格高騰にはいくつか理由がありますが、もともと富裕層の資産ポートフォリオでは1割程度を長期で持つ、といったセオリーがあり、そこにインフレや円安、新富裕層の参入といった要素が同時発生しています。また、アートのNFT化など技術の進化によって、より安心して購入できるなど参入障壁が下がっており、今後益々の活況を見込んでいます。

国内の売買でもメルカリなど販売チャンネルの豊富さと利便性からアートの流通が増加、展示会で1000円前後だったポストカードが、作家の逝去後に価値が上がり、30000円以上で取引されている事例もありました。

とはいえ、最初から投資的価値を期待するというよりも、長く愛着をもって保有できる心の資産としてモダンアートの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。過去に購入したことがない方には、ご自宅や仕事場などのインテリア用に金額の多寡に関わらず「何となく惹かれた」アートを先ずは購入してみることをお勧めしたいと思います。

昭和リバイバル:日本の懐かしい昔の魅力を探る

1926年から1989年にかけての昭和時代は、日本の黄金時代としばしば称されます。この期間は昭和天皇の在位期間全体にあたり、文化的および社会的な大変革を目の当たりにした時代でした。「昭和レトロ」という言葉は、この過ぎ去った時代のノスタルジアと魅力を反映しており、近年では再び脚光を浴び現代の人々を魅了しています。このトレンドは、ファッションやデザイン、料理芸術からエンターテインメントに至るまで、日本の生活のさまざまな側面にスポットを当て、今なお続く豊かな文化的背景を提供しています。

昭和レトロとは

昭和レトロとは、昭和時代の雰囲気と現象を凝縮し、シンプルさと活気を兼ね備えたデザインが特徴です。この美学は、ファッション、建築、日用品などに現れ、伝統とモダンが混在する時代を反映しています。その魅力は、生活がより単純でコミュニティに焦点を当てた時代への郷愁にあり、懐かしさを感じさせます。

歴史的背景と発展

昭和時代は、日本にとって大きな変革の時期でした。第二次世界大戦へと突入し、戦争による荒廃と苦難を経て、戦後は劇的な経済成長と近代化の時代を迎えました。特に1950年代から1970年代にかけての期間は、昭和レトロ再燃の焦点となっています。この時期、日本は飛躍的な技術革新と繁栄を遂げ、現代の贅沢品と利便性に満ちたライフスタイルが確立されました。

多くの困難があったにもかかわらず、この時代はコミュニティの精神とレジリエンス(回復力)も特徴的でした。日本がデジタル時代に移行する中で、当時の日用品や文化的な遺産は次第に色褪せていきました。しかし、最近になって再び関心が高まっているのは、過去のシンプルさと職人技に触れたいという人々の願望が表れているからです。

大衆文化における昭和リバイバル

過去10年間で、昭和時代への関心が着実に高まっています。かつては「ダサい」と見なされたものが、今ではレトロシックとして受け入れられています。このノスタルジアの波は、ファッションやメディア、旅行に至るまで、現代文化のあらゆる側面に浸透しています。2005年公開の映画「ALWAYS 三丁目の夕日」とその続編は、昭和時代のロマンチックなエッセンスを捉え、観客の多くが心を打たれました。最近では、NHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」が同様の感情を喚起し、この時代の可能性と意欲を強調しています。

昭和ノスタルジアを活用するビジネス

ビジネスもこのノスタルジックな関心を活用し、昭和をテーマにした遊園地やショップを展開しています。お台場や柴又では、昭和30年代をモチーフにしたテーマパークが訪問者を惹きつけ、昔を懐かしむ体験を提供しています。池袋や横浜の昭和風の甘味処や、レトロなバーやカフェは、その時代の本物の味を提供しています。熱海や青梅などの地方では、保存された文化的ランドマークやノスタルジックな雰囲気を利用して昭和遺産をアピールし、観光客を惹きつけています。

昭和レトロの現代的魅力

昭和レトロの復活は、急速に進むテクノロジー主導の現代社会への反動と見なすことができます。安定感と親しみやすさを提供し、よりシンプルでコミュニティ重視の時代への逃避を促します。経済の停滞と先行きの不透明さに直面する若者世代は、楽観主義と集団的努力の時代に目を向けることで心の安らぎを見出すことができます。この傾向はますますデジタル化が進む時代において、触覚的で具体的なものを求める人々に多くの共感を呼んでいます。

レトロスペクティブ比較: 大正ロマンと平成レトロ

昭和レトロは、昔の日本を異なる時代を通じて探求する広範なトレンドの一部です。大正ロマンは、大正時代(1912年〜1926年)を対象とする言葉で、西洋と日本の美学の融合で知られ文化的実験とロマン主義の時代を反映しています。この時代の彩度を抑えた色調と緻密なデザインは、ノスタルジックでありながら洗練された魅力を提供しています。

一方、平成レトロは1989年から2019年の期間に焦点を当てています。この時代は、著しい技術の革新と文化の転換が顕著でした。西洋における「Y2K」スタイルやファッションの広がりに匹敵するものとして、平成レトロは原宿ガールズ、平成ギャル、ビジュアル系など、この時期を定義した文化的トレンドと技術革新を称え、日本の急速な進化に対する独特な視点で振り返っています。これらのジャンルは共に、日本の文化的景観の豊かな側面を提供し、それぞれが独自の特徴と重要性を担っています。

昭和レトロは昔の日本への架け橋となり、懐かしくも活気に満ちた過ぎ去った時代を覗く機会を与えてくれます。その人気の高まりは、昔ながらのシンプルさと本物への憧れを象徴しています。昭和の美学と価値観を取り入れることで、現代社会はインスピレーションと安らぎを見出し、今なお影響を与え魅了する文化遺産と再びつながることができるのです。この再燃は、日本の豊かな歴史を称えるだけでなく、複雑な現代社会に対する意義ある対抗策ともなり得ます。

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