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メタバースの可能性とは?デジタルと現実が融合する未来

近年、急速に進化するデジタル技術により、メタバース(仮想空間)が私たちの社会において重要な役割を果たし始めています。メタバースは単なるゲームの世界ではなく、ビジネス、教育、観光、地域活性化など、多様な分野での活用が期待されています。また、地方創生の新たな手段としての可能性にも注目が集まっています。

そもそもメタバースとは何か?

メタバースとは、インターネット上に構築された仮想空間のことを指します。利用者はアバター(デジタル上の自分)を通じて、この空間内を自由に移動し、単なるコミュニケーションツールに留まらず、経済活動なども行うことのできる社会的コミュニティ、一部の人々にとっては生活インフラになるまでその市場は拡大しています。また、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)技術の進化は、メタバース体験をよりリアルに、そして没入感のあるものへと進化させています。現実世界とデジタル世界が融合することで、これまでにない新たな体験やビジネスチャンスが生まれています。

その中で代表的な例の1つがNFT(非代替性トークン)の活用です。NFTとは偽造できない鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータを活用し、デジタル上の土地やアイテムを売買することでデジタル資産の所有なども可能となっており、新たな売買市場やビジネスを創出する技術として注目が集まっています。

GARDEのメタバース事業部は2023年に青山デザインフォーラムが運営するメタバース空間「COCO WARP」の空間デザインと製作・販売サービスの提供を開始し、アバターによるカンファレンス参加やアート鑑賞、購入などが可能となっています。

メタバースがもたらすビジネスチャンス

メタバースの登場により、企業のビジネスモデルにも徐々に変革が求められています。マーケティング手法やリモートワークの普及によるバーチャルオフィスとしての空間活用、そのほか、教育・研修の点においてもメタバースを活用した没入型の学習体験が実現可能なため、医療分野では手術のシミュレーション、製造業では工場のオペレーション訓練などが期待されています。

また、メタバースによるビジネスチャンスは、地方創生と観光業の活性化の点においても注目されています。地方自治体がメタバースを活用することで、地域資源をデジタル化し、世界中の人々に発信することが可能となります。例えば、歴史的建造物や観光名所をVR化し、遠隔地からでも訪問体験ができるようになるほか、地方の特産品をメタバース内で販売することで、地域経済の活性化にもつながることが期待できます。

地方創生メタバースアワードへの参加を考える

GARDEでは40周年の節目に初の「地方創生メタバースアワード」を2024年11月より開催しています。地方自治体からの需要とクリエイターの力をかけ合わせ、メタバース技術を通じて地域の魅力を広く発信し、地方経済や文化の発展をサポートすることを目的としながら、地方活性化に貢献するアワード応募者の取り組みを表彰するアワードとなります。

単なる流行ではなく、社会のあり方を根本から変える可能性を秘めています。地方創生においては、新しい価値を創出し、地域の活性化につなげる大きなチャンスとなるはずです。

2025年4月30日の締め切りが迫る中、企業や自治体の皆さまにおかれましては、ぜひこの機会にメタバースの活用を検討し、「地方創生メタバースアワード」にご注目、応募をご検討ください。

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GARDEのサステナビリティ施策を紹介 デザイン業界に求められるサステナビリティとは

地球環境の深刻化や社会意識の変化、ESG投資への関心の高まりなどにより、近年注目度を増すサステナビリティ。社会全体、またデザイン業界に求められる課題解決に向けた取り組みの検討、実施をGARDEでも積極的に行っています。

今回の記事ではGARDEのサステナビリティ施策と実績について紹介します。

サステナビリティとは

サステナビリティとは、環境や経済などに配慮した活動を行うことで、社会全体を長期的に持続させる狙いがあります。
企業におけるサステナビリティには、環境、社会、経済の3つの観点から持続可能な社会を目指す経営が求められています。

建築・デザイン業界のサステナビリティ

建築・デザイン業界がコミットできるサステナビリティ施策には、環境面・経済面の要素が大きいと考えられています。例えば、建築物の建設や運営、維持に関わるCO2排出量の削減や、再生エネルギーの活用、資源の有効活用、より自然に配慮したサステナブル建築の設計などが挙げられます。

上記の業界施策に加え、当社では業界内外に関するサステナビリティトレンドを継続的に調査することで、クライアントに合わせた最適な取り組みのご提案を目指しています。
サステナビリティトレンドに関する記事は以下よりご覧いただけます。
>商空間デザインの最前線を探る
>優れた汎用性を持つ「竹」の用途
>日本のサステナブルファッション

GARDEのサステナビリティ施策

デザイン事業
GARDEのメイン事業の一つであるデザイン事業では、建築デザインからインテリアデザイン、環境デザインまで幅広い分野においてデザインと機能が結びつく空間を創造しています。

近年クライアントから求められるデザインは機能性だけなく、サステナビリティも欠かせない要素です。
当社では、空間を構成するマテリアルや空間を彩る家具の選定においてもサステナブルな構成を意識し行っています。
また、より長くご利用いただくために、配置や動線を熟考することで持続可能な設計をデザインに反映させています。

メタバースの可能性
2023年より新事業としてスタートしたメタバース空間のデザインと製作及び販売サービス。
当社が提供するデザイン事業を拡張し、お客様にさらなる付加価値を提供することが目的ですが、このメタバース事業にもサステナビリティを意識した要素があります。
店舗やイベント会場、ショールームなどの空間を建設するには土地や資材の確保が不可欠です。しかしメタバース上で空間を構築するとこれらの削減を可能とし、地球環境への配慮にも十分に期待できます。

その他、社会開発の観点から、観光で地域を活性化させる地方創生事業の運営や遊休不動産の活用にも積極的に取り組んでいます。
事業紹介はこちら

EcoVadisへの参加

EcoVadis は、1)環境、2)労働と人権、3)倫理、4)持続可能な調達に対する企業の行動と今後の取組みを「プラチナ」、「ゴールド」、「シルバー」、「ブロンズ」、「評価なし」の 5 段階によって評価する世界的な認定制度です。

GARDEは2024年からこの制度へ参加し、世界 13 万社の評価対象企業の中で上位 15%に付与されるシルバーメダルを獲得しています。
EcoVadisに参加することで自社の強みや改善点の把握ができ、持続可能な社会の実現に向け、取り組みの強化と継続が可能となりました。

さいごに

GARDEのサステナビリティ施策についてご紹介しました。
各取り組みを通じ、「環境保護」「社会開発」「経済発展」への更なる貢献を目指します。

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外資系ホテルの日本市場参入・拡大が加速 高級ブランドの進出がもたらす影響とは

近年、日本市場における外資系ホテルの進出が加速しています。マリオット・インターナショナル、ヒルトン・ワールドワイド、IHGホテルズ&リゾーツ、アコーホテルズといった世界的なラグジュアリー、ハイエンドホテルチェーンが、日本各地で新たな宿泊施設を続々と開業しています。その背景には、政府の規制緩和や訪日外国人旅行者の増加によって、日本の観光市場が更なるマーケットの成長が見込めるエリアとして、外資系企業に再注目されている点にあります。

東京・京都を中心に進む高級ホテルの新規開業

2023年4月には東京・丸の内エリアにイタリアの高級ブランド「ブルガリ」が国内初進出となる「ブルガリ ホテル 東京」をオープン。このホテルは、スタンダードルームが1泊平均20万を超えるラグジュアリーホテルであり、中には1泊400万円を超えるスイートルームも提供しており、超富裕層向けの宿泊施設として注目を集めています。

また、訪日外国人の観光名所の一つである京都においても外資系高級ホテルの進出が相次いでいます。2024年以降、「シックスセンシズ京都」や「バンヤンツリー・東山 京都」などが開業し、京都ならではの伝統的な日本文化と調和した空間デザインが国内外の富裕層から人気となっています。

GARDEでもこれまで数多くのホテルブランドの空間デザインを担当していますが、以前のDESIGN MAGAZINEでご紹介した「ハイアット ハウス 東京 渋谷」や「カンデオホテルズ京都烏丸六角」などでも外国人観光客の宿泊が多くみられ、市場として急成長していることを感じています。

外資系ホテル進出の背景 ― 円安と観光需要の高まり

外資系ホテルによる日本市場への積極進出の背景には、日々ニュースで取り上げられている通り、コロナ禍からの観光需要の回復と円安の影響が大きく関わっていることは言うまでもありません。2023年、 の発表によると、訪日外国人旅行者数はコロナ前の水準を回復し、過去最多を記録。それを受けて政府は2030年までに訪日外国人旅行者数を6000万人に増やし、消費額を15兆円にするという目標を掲げました。その一環として富裕層向けの宿泊施設の拡充を進めており、間取りの広い客室を設ける場合はビルの容積率を緩和するなど、ホテルの客室設計における規制緩和を実施していることも、外資系ホテルブランドが日本に参入しやすい理由の一つといえるでしょう。

建築デザインとテクノロジーの融合

外資系ホテルは、日本市場において単なる宿泊施設としての役割を超え、建築デザインや内装に地域文化を取り入れることで、独自のブランディングを展開しています。

例えば、ザ・リッツ・カールトン京都では、日本庭園や和紙を取り入れたデザインが特徴的で、畳や障子、木材といった伝統的な素材を活用し、京都の文化的要素を反映した空間を演出しています。また、東京・大手町のアマン東京では、モダンな高層建築に石材や木材、和紙を融合させ、洗練された和の美意識を表現しています。

さらに最近は、音声コントロールやAIアシスタントを活用した客室管理システムを搭載するなど、最新のIoT技術やスマートルームを導入することで、宿泊客にシームレスな滞在体験の価値を高めるためのDX化を進めるラグジュアリー、ハイエンドホテルブランドも増加傾向にあります。伝統と最新テクノロジーの融合が、外資系ホテルの強みになりつつあります。

さいごに

外資系ホテルの日本市場への進出は今後も続き、高級ホテルブランドの競争が激化する中、各社は地域の文化を尊重したデザインや独自のサービスを提供することで、他社との差別化を図っています。また、持続可能な観光の観点から、環境に配慮した建築や省エネルギー技術の導入が求められており、業界全体としてサステナビリティを重視した運営が期待されてきています。

観光需要の増加と政府の政策支援を背景に、外資系ホテルだけでなく今後も新たなブランドが日本市場に参入し、業界のさらなる発展を期待しています。

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伝統と革新を織りなす輪島塗の未来‐震災からの復興と新たな挑戦

石川県輪島市で生まれた伝統工芸「輪島塗」。会津塗(福島)、紀州塗(和歌山)にならぶ日本漆器の一つとして、海外からも高い評価を受けている伝統工芸品です。輪島塗は「堅牢優美」と評されていますが、その理由は、輪島市でしか採れない良質な土が漆器や耐熱性を強固にする特性を持ち合わせており、100以上の製造工程を専門職人の手を経てひとつひとつの漆器を仕上げていることが、美しい仕上がりの実現に繋がっています。

能登地域では、お祭りの日や大勢の親戚などを家に招く日に使う器として使用されており、その耐久性の高さから親から子世代、孫世代へ受け継がれていく特別な品となっています。

現代のインテリア・アート業界における輪島塗

近年、輪島塗は現代のライフスタイルにも適合するアート作品としても注目が集まり、生活スタイルの変化に合わせた、モダンなデザインの製品も製作されています。
ほか、英国王室御用達のブランド食器と輪島塗がコラボレーションをするなど、伝統的な奥ゆかしい工芸品としてのみでない新しい挑戦が続けられています。

能登半島震災を受けて

昨年に発生した能登半島地震は、石川県輪島市にも甚大な被害をもたらしました。輪島塗も例外ではなく、多くの工房が損壊し、職人たちの生活と製作活動が一時的な停止を余儀なくされました。伝統工芸品の職人離れが全国的に加速する中で、震災を受けて廃業や職人が地域を離れていく厳しい現状がありました。そんな中、地域の復興と伝統を守りたいと願う地元自治体や支援団体をはじめとする全国からのサポートがあり、被災した3か月後には仮設工房の設置がなされるなど、職人たちが制作活動を再開できるような環境が整いはじめたといいます。

また、震災を受けてやむを得ず手放すこととなってしまった輪島塗の漆器を、とあるボランティア団体では譲り受けて復興のためのチャリティー販売を実施し、収益金を能登との復興のために還元していく取り組みなども実施されました。

復興を願って

能登半島の震災から1年。まだまだ、復興への険しい道のりが続く中で、地域を守ろうとする能登の絆の強さを再確認させてもらいました。
GARDEの創業40周年記念贈答品では地域創生・復興の支援の1つとして持ち手に輪島塗を使用したワインストッパーを採用いたしました。
この先も輪島塗の美しさと伝統を未来に受け継がれていくことを願い、伝統文化継承の重要な産業を担っている作り手の皆さまを応援しています。

田谷漆器店さんからのコメント

輪島塗は、国の重要無形文化財に指定されており、その製造工程や素材はしっかりと定められています。細分化された工程を、それぞれのプロが作り上げる事で、クオリティーの高い漆器ができるという考えの元、職人が力を合わせて一つの製品を作り上げています。天然漆の触り心地の良さ、見た目の美しさ、世界中のどんな塗料よりも優れていると思っています。お手に取る皆様に、漆芸の魅力を感じて頂けますと幸いです。

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【Forbes CAREER 転載記事】クオリティに愚直なまでにこだわる──海外ブランドの信頼を勝ち取る、設計デザインの信念

2023年にForbes CAREERにて公開されたインタビュー記事。編集部の許可を得てGARDE DESIGN MAGAZINEに転載させていただいております。
GARDEが得意とするラグジュアリーブランドにおける設計デザイン業務について、社長の室とプロジェクトマネージャー佐藤が現状及び今後の展望について語りました。
<以下本文>

アーキテクトのデザイン史に40年以上の歴史を刻んできたGARDE(ギャルド)は、これまでに国内外で、街並みに華を添えるラグジュアリーブランド、家族や友人と素敵なひと時を過ごすホテル、ショッピングを楽しむ百貨店や店舗、最新メソッドで構築されたオフィスなど、多くの設計デザインを手掛けてきた。それらの中には、商業施設の枠を超えて、国や地域のランドマークとなっているものも存在する。

GARDEが得意とするラグジュアリーブランドの設計デザインでは、ブランドの価値とコンセプトを守りながら、現地の文化や顧客の嗜好にあわせたローカライズが求められる。そのためには、事業を統括するプロジェクトマネージャーと国内法規に適合させるローカルアーキテクトは、高い専門性を発揮して、人と文化を調和させなければならない。

コロナ禍を乗り越え、世界中で人の往来が復活している中で、新たな高みを目指すGARDEの現状と求める人材像について、代表取締役社長の室 賢治とプロジェクトマネージャーの佐藤かえでに話を聞いた。

挑戦し成長ができる環境を提供する

世界のラグジュアリーブランドが集まり、国内外から観光客が押し寄せる表参道(東京都港区)に、GARDEのオフィスはある。ブランドと人が交差する街に居を構えていることからも、同社のアイデンティティがうかがい知れるだろう。1985に創業したGARDEは30年以上にわたり、ここ表参道の地から、国内と海外にデザインを発信してきた。

現在、GARDEを率いる室は、武蔵野美術大学で空間演出デザインを専攻し、三越百貨店のデザイン職を経て、2010年に入社、22年には社長に就任した。海外の新規案件獲得では極力コンペに参加せず、決定権がある人物に直接アクセスするという手法は、香港駐在など豊富な海外経験を持つ室が生み出したものだ。室はなぜ、老舗百貨店からラグジュアリーブランドのローカライズという道を選択したのだろうか。

GARDE代表取締役社長 室 賢治

「私が三越を退職したのは、ホテルなど他のデザインを手掛けたいと思っていたからです。また、40歳前半で転職して、新天地で自分の実力を試したいという思いもありました。

そのような中で、三越時代からやりとりがあったGARDEなら、会社の規模的に見ても自分がやりたいことができるだろうと考えて、転職を決心しました」(室)

入社6年目の佐藤は、初めて聞く室の懐古に、大きく頷きながら耳を傾ける。佐藤は米国留学中にGARDEと出会い、新卒で入社した。
「私は米国でアートを専攻していました。留学生向けの就活イベントにデザイン系で唯一出展していたのがGARDEでしたので、建築は畑違いかなと思いながらも、大きな舞台で自分を高めることができると考えて就職しました。

米国に残るという選択肢もあったのですが、米国企業はある程度経験を積んだ人を採用します。一方でGARDEなど日本企業は新卒枠で採用し、社内で経験を積ませてくれるので、その点も当時の自分に合っていました」(佐藤)

コミュニケーションから生まれる“ファン化”

これまでにGARDEは、「BARNEY‘S NEW YORK」や「梅田阪急百貨店」、2021年4月に開業した、17万m2に約50のラグジュアリーブランドが並ぶデパートメント・モール「寧波阪急」(中国)など多くの店舗や施設をデザインしてきた。また、上述のとおり、ラグジュアリーブランドのローカライズも得意としている。次々と大型案件を手がけるには、何らかの秘策があるはずだ。

「GARDEは国内で展開するインポートブランドおよそ130社のうち、約80社の案件を手がけています。これだけの数を手がけていると当然驚かれますが、特に秘策があるわけではありません。ラグジュアリーブランドがローカライズするにあたって求めるのは、クオリティを再現、表現できるのかに尽きます。

ですから、私たちはブランドのクオリティを保つために、海外の本社と綿密な打ち合わせを何度も繰り返します。そこで重要になるのは、コミュニケーションの能力です。相手の話をとことん聞いて、自分の意見もきちんと伝える。そういうやりとりを繰り返す中で、ブランド側に自分を好きになってもらう。私はこれを『ファン化』と呼んでいます」(室)

室が語るGARDEの強みは、商品を売るのではなく自分を売るという営業の基本に愚直なまでにこだわる姿勢から生まれていることがわかる。このコミュニケーションに重きを置く室の考えについて、佐藤は居心地の良さとある種の緊張が同居する社風としてGARDEに現れているという。

「コミュニケーションを重視するということは、社風として定着しているように感じます。GARDEは職人気質な社員が多いのですが、仕事をするときには、きちっとまとまります。もちろん、議論は白熱しますが、上位下達ではなくフラットな関係の中で、ブランドの価値をいかに高めるかを、とことん話し合っていますね」(佐藤)

俯瞰とこだわりがキーとなる、それぞれの職種

佐藤が新卒で入社したことは先に触れたが、彼女は当初からプロジェクトマネージャーとして採用されたため、アシスタント的な仕事から始まり、経験を積むごとに大きな仕事を任されてきた。室が「会社のムードメーカー」と評する佐藤は、GARDEでのプロジェクトマネージャーの仕事を「大変だけど、成長を感じる」と語る。

プロジェクトマネージャーの佐藤かえで

「プロジェクトマネージャーは、プロジェクトを円滑に進めるため、スケジュールとコストを細分化して、軌道に乗っているのか全体を俯瞰することが仕事です。そのため、海外の本社と英語を使ってミーティングしたり、実際に出張して細かいところを詰めたりもします。

個人的に思い出深いのは、『GINZA SIX』にあるラグジュアリーブランドの仕事です。クライアントが打ち出す新たなコンセプトを、時間がない中でスケジュールとコストを調整し、デザインも妥協せず完成させました。あの時の達成感があるからこそ、いまも頑張れるのだと思います」(佐藤)

プロジェクトの全体を俯瞰するのがプロジェクトマネージャーの仕事だとすると、ラグジュアリーブランドの基本設計やマニュアルを、日本の法律や材料に合わせて必要な修正を施し、施工管理を行うのがローカルアーキテクトの仕事だ。

「GARDEのローカルアーキテクトには、海外のブランドがつくったデザインのアウトラインを、日本の法律や規則に合わせる形で入札・施工できる図面に起こして、正しく施工されているのか都度チェックすることが求められます。

そこで必要になってくるのは、先に述べたブランドが求めるクオリティを再現、表現できる精度の図面を描くことです。ゆえに、神経質なほどに細部までこだわることができる人が向いていると言えるでしょう」(室)

困難をモチベーションに転換し、ポジティブ思考で道を拓く

これまでの話を総合すると、GARDEが求める人材像は、プロジェクトマネージャーとローカルアーキテクトで若干の差異はあれども、コミュニケーション能力が高い職人と表現して差し支えないだろう。また、ラグジュアリーブランドなど海外の顧客との折衝も多いため、語学力も必要となってくる。

そうなると、華やかな世界で活躍するには多くの能力を兼ね備えなければならないのか思いきや、室は自らの経験から、「ポジティブ思考」があれば道は拓けると説く。

「デザインの仕事では、求められることを先読みして、アクティブに提案していくことが大事です。それが結果として、お客様の満足度を高めることにつながります。お客様とGARDEスタッフとのコミュニケーションを土台にしながら、目の前の困難をモチベーションに転換してくポジティブ思考があれば、大抵のことは乗り越えられるでしょう。そういった幅広いコミュニケーション能力を備え能動的に動くことができる方に、弊社で活躍いただきたいですね。

一方で、これら能力や思考の成長を個人任せにはしていません。設計や施工管理の資格取得の費用を支援したり、ブランドの本拠地を見聞するための数週間から年単位での海外研修を行ったりと、人材育成にはかなり力を入れているつもりです」(室)

室の言葉に、佐藤は「プロジェクトの川上から川下まで携わるので責任感とプレッシャーは大きいですが、誰もが知っているブランドの店舗や街で生活に溶け込んでいる施設を、仲間と一緒につくり上げた達成感は何事にも代えられません。弊社での仕事は、大企業ではなかなか味わうことができない、プロジェクトを一から積み上げ、形にする喜びを感じていただけると思います」と目を細める。

いまGARDEは、これまで主軸としていた領域を基幹としつつ、メタバースと地方創生、アートの3つの新事業の展開を進めており、これを室は「非デザイン、非内装でやっていく」と表現する。だが、この言葉の真の意味は、デザインを通じて社会に貢献していくということだろう。

顧客の満足度を高めることに注力してきたGARDEが創る新たな世界は、果たしてどのようなものだろうか。室や佐藤らGARDEのメンバーは、夢に向けて挑戦し続ける。

文・吉永ケンジ 写真・古水 良 編集・本間香奈
Promoted by GARDE

※Forbes Careerに掲載された記事となります。
掲載元:https://career.forbesjapan.com/story/673

採用情報
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