東京建物 本社機能の移転プロジェクト ~生き生きと働く人たちが新たなエネルギーを生むニュースタイルオフィス~
2020年東京建物の本社機能の移転プロジェクトにあたり、GARDEがコンセプト立案から、基本計画、基本設計、実施設計、監修を手掛けました。もともと本社を構えていた東京駅八重洲口前が大規模再開発プロジェクト対象エリアとなり、新本社ビル完成までの約5年間、そこからほど近い「東京建物八重洲ビル」に本社機能を移転することとなりました。これまで都心を中心に様々な大規模プロジェクトにおいて数多くのオフィスを提供し続け、グローバル都市「東京」の顔とも言うべき東京駅の真向かいに拠点を置く東京建物。そんな東京建物がつくる新たなオフィスとはどうあるべきなのか、私たちは真正面から向き合いました。
GARDEが考えるオフィスづくり
昨年、それまでは言葉だけは見聞きしていた「働き方改革」という概念がようやく現実のものとして定着し始めつつありますが、このプロジェクトは2019年にスタートしており、私たちは2018年頃から日本でも注目されるようになっていた ABW (Activity Based Working) という考え方をさらに踏み込んだ形でオフィスデザインとして具現化することを目指しました。
まず企業は働く人にとって快適な環境づくりをソフトとハードの両面で提供すること、それにより社員のワークライフバランス、もっと言えばQOLが向上し、より高いパフォーマンスを発揮することができるようになることで、企業としての生産性、業績の向上につながり、ひいては企業としてのサステナビリティを実現することができます。そこで働く人ひとりひとりが生き生きと輝き、そのエネルギーがチームや部署に波及しながらさらに新たな価値を生み出し進化していける空間としてのオフィスを創り出しました。
デザインコンセプト
GARDEが提案したのは、新たな“流れ”を生み出すオフィス。始まりは個人や小さなチーム単位で発生した小さいけれども勢いのある流れが、周囲を巻き込みさらに大きな流れとなる。そこで生み出された価値は街へと波及して、それはやがて街からオフィスにフィードバックされる、そんなイメージがこのデザインの根底に流れています。
流れをつくる仕掛けは様々な形で配置されています。固定席である必要のない部署のデスクはフリーアドレスとなっていますが、単に自由に座席を選べるというだけではなく、目的に応じて使える環境がいくつも設けられています。垣根を取り払って自由な動線を作ったり、あるところは相互の連携が自然に生まれるような開放感のある空間に、またあるところは適度に遮断することで集中力を高められる空間など、メリハリのある環境が作業効率を向上させます。