Project

中国・蘭州国芳百貨および東方紅プラザ地下ショッピングセンターの大規模改造プロジェクトをGARDEが手掛ける

蘭州市は中国北西部に位置する甘粛省の省都。その市内中心部にある東方紅広場に隣接する国芳百貨は、ショッピング、レジャー、エンターテインメント、レストランを融合させたモダンな大型ショッピングモールです。その来客数と世界の名だたるラグジュアリーブランドのラインナップは市内最大で、世界のファッションマーケットの今を発信しています。

今回のプロジェクトは、2022年開通予定のメトロ1号線と直結する計画が進められている国芳百貨と東方紅プラザ地下ショッピングセンター両方の地下階を一体的に改造するという大規模なものでした。

•百貨店側

靴売場 ~円形動線からダイナミックな円形空間創出~
入口となるESCホールから非常に奥行きの深い売場だったため、円形動線をつくることで奥行きの深さが負担にならず自然に回遊できるように設計しました。またこの動線形状を天井意匠にも連動させることで、円形空間を強調しています。さらに天井円形意匠は、中央を一番低く外側に向かうほど高くなるよう設計。空間の中央から外側に向けて大きく広がっていくような、ダイナミックな空間を創出しています。柱も空間を分断しないようそのデザインや配置が計算され、ゆったりとスムーズに買い物を楽しめるよう工夫されています。

ジュエリー売場 ~女性らしい煌びやかな主動線~
空間のメインエリアとして、中心部の店舗は高さを抑えて、ジュエリーを眺めながら回遊できる動線をつくりました。また天井にはキラキラと光が漏れるようなデザインを施し、ジュエリー売場らしい華やかさを強調。

最奥のテナントまでスムーズに回遊できるような空間を演出しています。

•ショッピングセンター側

デザインコンセプトは、「Natural Geometric Shapes」。もともと蘭州市は石炭など鉱物資源の豊富な土地であったことから、都市の資源をデザインモチーフとすることで、蘭州らしさを演出。通路全体はシンプルなデザインで、通路が交わり、分岐するエリアをデザインポイントとして、”Geometric Shapes”を強調することでメリハリのある空間に仕上げています。それにより各店舗のイメージを活かしつつ、売場全体の一体感の創出につなげました。

シンプルな通路デザイン

Geometric Shapesをモチーフにした通路の交差エリア

業務内容
コンセプト、基本計画、基本設計、実施設計、監修

物件情報
所在地:蘭州市城関区広場南路4-6号
面積:24,870㎡(国芳百貨の延床面積は90,000㎡)
竣工:2021年5月

カンデオホテルズ京都烏丸六角~京都市登録有形文化財「旧伴家(ばんけ)住宅」が現代の技術、技法、デザインにより魅力的に変身~

2021年6月にオープンしたカンデオホテルズ京都烏丸六角。コンセプト立案からファサード、基本計画、基本設計、監修をGARDEが手掛けました。

このホテルの最大の特徴は、大変貴重な京都市登録有形文化財である伝統的な町屋「旧伴家住宅」をホテルとしてリデザインしたことです。町家の中でも「旧伴家住宅」は、当時の趣を残す貴重な建物で、特に主室と次の間から成る座敷はともに面皮柱(めんかわばしら)を建て、面皮長押(めんかわなげし)をまわすなど数寄屋風に仕上げられており、また主室は床・棚・平書院を構え、棚の天袋・地袋の奥には池大雅(いけのたいが)の墨絵が張られているなど細部に渡り手を抜かず意匠としても優れています。その趣や魅力を最大限に生かすため、応接の間、ラウンジ、BARの畳空間はそのままに、元々あった中庭は保存し、1Fの応接の間から京町家の空間をくつろぎながら楽しんで頂けるようにしました。

京都の伝統建築や文化と現代の技術や技法、あらゆる英知により京都烏丸の地に唯一無二の価値を持つ体験型町家「カンデオホテルズ京都烏丸六角 」が誕生。まさに“暮らすように京文化に触れる”「滞在型文化体験施設」、「滞在型町家」と言えます。

 

伴家(ばんけ)住宅とは
伴家は近江八幡町の出身で、明治29年(1896)に現在の位置に居を構え、代々呉服問屋を営んできた。 主屋は、店舗棟と奥の住棟のあいだを玄関棟でつないだ表屋造おもてやづくりの形式で、明治44年には現在の姿になっていたものと考えられる。建築的には、座敷がとくに注目される。主室と次の間から成る座敷は、ともに面皮柱(めんがわばしら)を建て面皮長押(なげし)をまわすなど、数寄屋(すきや)風に仕上げられており、また主室は床・棚・平書院を構えて、棚の天袋・地袋の奥には池大雅(いけのたいが)の墨絵を張っている。細部にわたって凝ったところがみられ、意匠的にも 優れたものである。この主屋は、多少手が加えられているものの、全体としては京町家の趣をよく残している。また、 京都の町家には明治から大正にかけて座敷のみを改築する傾向がみられるが、当家の
座敷もこうした一例で、近代における町家の動向を示している。
[平成3年4月1日 登録 京都市]
京都市史跡看板より引用)

【デザイン】
レセプション棟、客室棟、大浴場棟の3つの棟で構成。玄関口となるレセプション棟は、京都市登録有形文化財である旧伴家住宅をリデザイン。通り土間は、土間自体をそのまま残したことで京都の路地をイメージ頂けるような空間となっています。また、ラウンジだけでなくライブラリーやバースペースを作ることで見どころや体験コンテンツを増やし、滞在期間をより充実したものにして頂けるよう演出しました。

●レセプション棟
応接の間、バー・ラウンジなどでは、基本的に畳空間を踏襲。一階「応接の間」には、京都出身の文人画家である池大雅の墨絵が描かれた襖に、和を連想させる白檀が香る玄関などで、くつろぎの空間を創出。また二階のバーには、格子窓から見える通り土間に配された吊り下げ照明が、お祭りで掲げられる提灯を眺めるような雰囲気を醸し出し、町屋に住む感覚を演出しています。
当時からあった土間は通り土間にすることで、京都の路地を思わせる空間になっています。


(左)エントランス (右)坪庭


(左)一階/応接の間 (右)通り土間

●客室棟
和風建築の特徴的な直線を活かしつつ、パターンにはトラバーチンの色や暖かさのあるピンクブロンズのディテールといった意外性のある洋風の仕上げを導入。ウォールナットを取り入れることで高級感に包まれた空間を創り出しました。
トラバーチンの優しい印象や金属部に町家を反射させた間接視界など歴史のある町家の建築とも違和感なく調和を保ちながらモダンなデザインに仕上げました。

(左)スイートルーム (右)ツインルーム

●大浴場棟

◆カンデオホテルズ 京都烏丸六角とは
地上10階建ての客室棟には106室の客室があり、プライベートスパ付き客室も2部屋完備。またカンデオホテルズチェーン最大の特徴である大浴場は心地よい風が吹き抜け、外気を感じることができる外湯となっています。男湯にはドライサウナと水風呂、女湯にはミストサウナを完備。京都観光で疲れた身体を癒し、リフレッシュできる空間を提供します。
京都が一年で最も賑わう祇園祭の際には、ホテル正面に山鉾(浄妙山)が組み立てられます。機能性とデザイン性の両立もさることながら、祇園祭を最も間近に感じられるカンデオホテルズ 京都烏丸六角は非常に希少性の高いホテルです。

施設概要
–     正式名称:カンデオホテルズ京都烏丸六角
–      所在地:〒604-8064京都市中京区六角通烏丸西入   骨屋通149
–      敷地面積:828.99㎡
–      建築面積(建蔽):619.95㎡
–      容積対象 床面積(全フロア):3302.55㎡
–      高さ:31.00m、地上10階
       ※客室棟、大浴場棟のみ。

業務内容
コンセプト立案、ファサード、基本計画、基本設計、監修

                    

京都三条木屋町に出現した「大正ロマン」、HOTEL ARU KYOTO(ホテル アル京都) ~イタリア人デザイナーが作るモダニズムな世界観がそこに「在る(ARU)」~

2021年7月に京都三条木屋町通りにグランドオープンしたHOTEL ARU KYOTO。コンセプト立案からファサード、基本計画、基本設計、実施設計、監修をGARDEが手掛けました。

西洋のダマスク壁紙に民家の格間天井、日本伝統のタイルに欧州の家具、和風の木格子に洋風のステンドガラス…和と洋の要素をバランスよく上品に取り入れた空間で、みなさまに古き良き大正ロマンの世界観を伝えています。

HOTEL ARU KYOTO誕生の背景

イタリア人デザイナーが作り出す約100年前のモダニズム日本、「大正ロマン」の世界
本物件のデザインを担当したのは、イタリア人デザイナーフランチェスコリストリ。フィレンツェ大学で建築を学び、卒業後もイタリア国内で住宅や リテールの設計、歴史的建造物の修復に携わり、2014年来日。その後、弊社に所属。現在まではイタリアでの経験や風習を発揮できるプロジェクトへの参画が主。ではなぜ「大正ロマン」?イタリア人×「大正ロマン」。一見するとまるでリンクせず、“違和感”すら感じる。だが、本プロジェクト成功の鍵は、その“違和感”にこそあった。

 

 

イタリア人デザイナーと「大正ロマン」との出会い
彼は加入にあたり、「大正ロマン」という独特な世界観で表される日本の芸術・文化の様式について初めて知った。最初は西洋スタイルに倣っているような印象を受けたものの、深く学ぶにつれて西洋の建築やアートに新たな解釈を加えた独特な世界観を創出していることに感動すら覚えたと言います。

知る程に魅力を感じる「大正ロマン」
文明開化の明治時代を経て和洋折衷の文化が花開くも、わずか15年で幕を閉じた大正時代。都会的な華やかさにつつまれる一方で、経済的な閉塞感からくる社会不安も同居する、光と影のコントラストの強い時代。そんな時代の華やかさに反しどこか薄暗い雰囲気が漂う建築や芸術に、彼は「穏やかな憂鬱と精神的な憧れ」を感じたと話す。

HOTEL ARU KYOTOにおけるデザイン
過去の文化を取り入れること、それを現代の技術やセンスを駆使し昇華させ新たな空間を作りだすこと。単に古い時代感を復活させたのではない。京都の地に「大正ロマン」を体験できる場所を作ることでそこに新たな京都旅の目的が生まれ、人が集う。そして、またそこに新たな文化が芽吹く。
100年前のモダニズム「大正ロマン」が100年後のモダニズムを創造していく・・・
デザイン的サスティナブルも是非、感じて頂きたいと彼は言います。

デザイナープロフィールはこちらから
https://www.garde-intl.com/aboutus/?lang=jp

● 施設紹介

「ARU -在る―」という名前には、「時を超えてその場所に在り続けるホテル」でありたいという願いが込められています。かつては高瀬川沿いの材木問屋街として賑わった三条・木屋町通り。江戸、明治、大正と、その時代の西洋文化の影響を受けながら、その普遍的価値、さらにはそこに根付くロマンが脈々と受け継がれています。

この町の歴史や伝統を守りながら、新たな価値や文化を生み出し、よりよい未来を紡いでいくホテル。それは枠組みにとらわれず新しい文化を取り入れることで、オリジナルとも異なる独自の世界をつくり出した時代に通じています。レンガ造り建築に和洋折衷のインテリア、文化的には宝塚歌劇団の設立やキネマの流行など、建築、デザイン、娯楽など多くの分野で独特の文化が生まれた時代。そんな独特な時代の文化や、その時代の情景を表す言葉「大正ロマン」の建築様式にインスパイアされて誕生したのが、HOTEL ARU KYOTOなのです。

シックでモダンなインテリアのフロント

柔らかく差し込むステンドグラス越しの光が心地よい客室

デザイナーもお気に入りの一枚板の本格的なバーカウンター 雰囲気のある薄暗い照明が「大正ロマン」の空気を漂わせます

美しい京都の景色を一望しながら、夏にはビアガーデンなども楽しめるルーフトップ

施設概要
–     正式名称:HOTEL ARU KYOTO(ホテル アル京都)
–     所在地:〒604-8031京都市中京区河原町通三条下る大黒町48番地
–     用途:ホテル(55室、内バリアフリー1室)
–     規模:地上9階
–     高さ:29.50m
–     構造:鉄骨造
–     敷地面積:391.44㎡
–     建築面積:1707.30㎡

業務内容
コンセプト立案、ファサード、基本計画、基本設計、実施設計、監修

中国のレディースファッションブランド「LANCY」のリブランディング および新ブランド「L By LANCY」のブランディングデザイン

中国国内高級レディースファッションブランド「LANCY」のリブランディング後第1号店、および新たにスタートしたセカンドライン「L By LANCY」第1号店のコンセプト立案から、基本計画、基本設計、実施設計、監修をGARDEが手掛けました。

「LANCY」は2000年の設立後、大人の魅力に溢れ、経験、影響力を兼ね備えた都会の洗練された女性のためのあらゆるシーンに合うファッションを展開するハイエンドレディースファッションブランドです。中国のレディースファッション市場は、平均所得の上昇につれてニーズの多様化や市場の細分化などが進み、競争はますます激化しています。カジュアル化、ストリート化の傾向が進む一方で、「ブランド」重視の傾向も強まっており、単に高級であるということだけでなく、ブランドに対する信頼性がより強く求められています。このような流れを受けて「LANCY」ではブランド価値の再定義、またこれまでは同じ店舗で扱っていた「L By LANCY」は、新たなブランドとしてのブランディングが今回のミッションでした。

LANCY
都会に暮らす洗練された女性たちのオリジナリティ溢れる着こなしをリードすることで、セルフブランディングサポートの実現を目指しています。またブランド価値への消費者の共感を高めながら、世界に向け愛やパワーを届けていきたいと考えています。店舗デザインのコンセプトは、「My place, My time」。彼女たちが住む「邸宅」をイメージし、上質な素材の質感と、全体を明るく暖かみのあるトーンにまとめることで、洗練された中にもリラックスできる空間をつくり上げました。

店舗では「邸宅」の象徴として「ゲート」を配し、また床の素材を変えることで表情の異なる空間をつくり出すことで部屋を表現しています。特に意識したのは、繊細な女性らしさを細やかなディテールで丁寧に表現することや、ブランドオリジナルのLC模様を配しながらラグジュアリーで且つオリジナリティ溢れる空間に仕上げること。ここに足を踏み入れるだけで、ブランドを感じて頂けると考えております。

LANCYの店内

L By LANCY
LANCYの持つエレガントで洗練された世界観はそのままに、より幅広く若い層がターゲットのブランドです。「My place, My time」をデザインコンセプトに、華やかさや煌びやかさがダイレクトに伝わる空間に仕上げています。一例として、L By LANCYのロゴにアレンジを加えたデザインをモチーフにしたシャンデリアを店舗中央にディスプレイ。とても華やいだ雰囲気を演出しています。

L By LANCYの店内

業務内容
コンセプト立案、基本計画、基本設計、実施設計、監修

マレーシア随一の観光地ペナン島最大級の話題の飲食街〝Gurney Food Hall″

マレーシア随一の観光地であるペナン島にある島内屈指のショッピングモール、Gurney Plazaの新たな高級フードホール〝Gurney Food Hall″の内装設計をGARDEが手掛けました。また本物件において、「アジア パシフィック プロパティ アワード2021-2022」のインテリアデザイン部門/レジャーインテリアカテゴリーを受賞しました。

2020年10月にオープンしたGurney Food Hallはペナン島最大の高級フードホールとして急速に好評を得ており、最大キャパシティ600人を誇る、今最も話題のフードホールです。マレー半島の西方、マラッカ海峡に位置するペナン島は古くから交易船の寄港地として栄えていたことから、東南アジアにおける最も重要な集散地として様々な文化を取り入れながら独自の発展を遂げてきた地域。食においても多種多様で、常に世界の美食の街ランキングの上位に選ばれるなど豊かな食文化が魅力の街です。

そんな街の歴史と食文化が深く関わりあうこの地に新設されたフードホールのデザインにあたり、与えられたテーマはペナン島の文化、食、芸術が伝わる、洗練された空間。そこで私たちは街が豊かになり発展を遂げてきた象徴であり街のアイコンとも言うべき「埠頭」「港」「パーム」「パティオ」で4つにゾーン分けし構成することを考えました。

まず、「埠頭ゾーン」は商人がペナン島に足を踏み入れる最初の場所。クールで清々しい海の青さとアーチ形の入り口がお客様を出迎えます。次に「港ゾーン」はペナンの工業地帯を象徴する賑やかで活気のあるエリア。そして「パームゾーン」は、ペナンの豊かな自然を伝統的な手工芸品で表現。暖かみのある落ち着いた空間です。最後に「パティオゾーン」は、たっぷりと日差しの降り注ぐ心地よいスペース。どのゾーンを選んでも、おいしい食事とともにペナン島の風景も体感頂けるものとなっています。

埠頭 街灯と建物案内板、フロートガラスの浮き玉

 魚やパドルをモチーフにた装飾品

パーム 天井から吊られた緑樹や籐のランプ

パティオ 抽象的な木のオブシェと光のカーテン

アジア パシフィック プロパティ アワード2021受賞!
Interior Design部門 Leisure Interiorカテゴリー

アジア パシフィック プロパティ アワードとは
International Property Media Ltd.が主催する「インターナショナル プロパティ アワード」のアジアパシフィック部門。アジアにおけるデザインアワードとしては、最も権威があり広く認知されている。アジア太平洋地域の25ヵ国・地域の商業、住宅用不動産の中から「開発」「建築」「インテリアデザイン」などのカテゴリー別に、優れた企業および物件を表彰しており、今年で27年目を迎える。約80名の専門家により、設計、品質、サービス、革新、独創性、持続可能性への取り組みに重点をおいて厳正に審査される。

業務内容
コンセプト立案、基本計画、基本設計、実施設計、設計監修

物件情報
Gurney Food Hall
オープン:2020年10月15日
所在地:4th Floor Gurney Plaza, Gurney Drive, 10250 George Town, Penang Malaysia
構造:地上4階(4階部分)
Scroll to Top