Project

京都三条木屋町に出現した「大正ロマン」、HOTEL ARU KYOTO(ホテル アル京都) ~イタリア人デザイナーが作るモダニズムな世界観がそこに「在る(ARU)」~

2021年7月に京都三条木屋町通りにグランドオープンしたHOTEL ARU KYOTO。コンセプト立案からファサード、基本計画、基本設計、実施設計、監修をGARDEが手掛けました。

西洋のダマスク壁紙に民家の格間天井、日本伝統のタイルに欧州の家具、和風の木格子に洋風のステンドガラス…和と洋の要素をバランスよく上品に取り入れた空間で、みなさまに古き良き大正ロマンの世界観を伝えています。

HOTEL ARU KYOTO誕生の背景

イタリア人デザイナーが作り出す約100年前のモダニズム日本、「大正ロマン」の世界
本物件のデザインを担当したのは、イタリア人デザイナーフランチェスコリストリ。フィレンツェ大学で建築を学び、卒業後もイタリア国内で住宅や リテールの設計、歴史的建造物の修復に携わり、2014年来日。その後、弊社に所属。現在まではイタリアでの経験や風習を発揮できるプロジェクトへの参画が主。ではなぜ「大正ロマン」?イタリア人×「大正ロマン」。一見するとまるでリンクせず、“違和感”すら感じる。だが、本プロジェクト成功の鍵は、その“違和感”にこそあった。

 

 

イタリア人デザイナーと「大正ロマン」との出会い
彼は加入にあたり、「大正ロマン」という独特な世界観で表される日本の芸術・文化の様式について初めて知った。最初は西洋スタイルに倣っているような印象を受けたものの、深く学ぶにつれて西洋の建築やアートに新たな解釈を加えた独特な世界観を創出していることに感動すら覚えたと言います。

知る程に魅力を感じる「大正ロマン」
文明開化の明治時代を経て和洋折衷の文化が花開くも、わずか15年で幕を閉じた大正時代。都会的な華やかさにつつまれる一方で、経済的な閉塞感からくる社会不安も同居する、光と影のコントラストの強い時代。そんな時代の華やかさに反しどこか薄暗い雰囲気が漂う建築や芸術に、彼は「穏やかな憂鬱と精神的な憧れ」を感じたと話す。

HOTEL ARU KYOTOにおけるデザイン
過去の文化を取り入れること、それを現代の技術やセンスを駆使し昇華させ新たな空間を作りだすこと。単に古い時代感を復活させたのではない。京都の地に「大正ロマン」を体験できる場所を作ることでそこに新たな京都旅の目的が生まれ、人が集う。そして、またそこに新たな文化が芽吹く。
100年前のモダニズム「大正ロマン」が100年後のモダニズムを創造していく・・・
デザイン的サスティナブルも是非、感じて頂きたいと彼は言います。

デザイナープロフィールはこちらから
https://www.garde-intl.com/aboutus/?lang=jp

● 施設紹介

「ARU -在る―」という名前には、「時を超えてその場所に在り続けるホテル」でありたいという願いが込められています。かつては高瀬川沿いの材木問屋街として賑わった三条・木屋町通り。江戸、明治、大正と、その時代の西洋文化の影響を受けながら、その普遍的価値、さらにはそこに根付くロマンが脈々と受け継がれています。

この町の歴史や伝統を守りながら、新たな価値や文化を生み出し、よりよい未来を紡いでいくホテル。それは枠組みにとらわれず新しい文化を取り入れることで、オリジナルとも異なる独自の世界をつくり出した時代に通じています。レンガ造り建築に和洋折衷のインテリア、文化的には宝塚歌劇団の設立やキネマの流行など、建築、デザイン、娯楽など多くの分野で独特の文化が生まれた時代。そんな独特な時代の文化や、その時代の情景を表す言葉「大正ロマン」の建築様式にインスパイアされて誕生したのが、HOTEL ARU KYOTOなのです。

シックでモダンなインテリアのフロント

柔らかく差し込むステンドグラス越しの光が心地よい客室

デザイナーもお気に入りの一枚板の本格的なバーカウンター 雰囲気のある薄暗い照明が「大正ロマン」の空気を漂わせます

美しい京都の景色を一望しながら、夏にはビアガーデンなども楽しめるルーフトップ

施設概要
–     正式名称:HOTEL ARU KYOTO(ホテル アル京都)
–     所在地:〒604-8031京都市中京区河原町通三条下る大黒町48番地
–     用途:ホテル(55室、内バリアフリー1室)
–     規模:地上9階
–     高さ:29.50m
–     構造:鉄骨造
–     敷地面積:391.44㎡
–     建築面積:1707.30㎡

業務内容
コンセプト立案、ファサード、基本計画、基本設計、実施設計、監修

中国のレディースファッションブランド「LANCY」のリブランディング および新ブランド「L By LANCY」のブランディングデザイン

中国国内高級レディースファッションブランド「LANCY」のリブランディング後第1号店、および新たにスタートしたセカンドライン「L By LANCY」第1号店のコンセプト立案から、基本計画、基本設計、実施設計、監修をGARDEが手掛けました。

「LANCY」は2000年の設立後、大人の魅力に溢れ、経験、影響力を兼ね備えた都会の洗練された女性のためのあらゆるシーンに合うファッションを展開するハイエンドレディースファッションブランドです。中国のレディースファッション市場は、平均所得の上昇につれてニーズの多様化や市場の細分化などが進み、競争はますます激化しています。カジュアル化、ストリート化の傾向が進む一方で、「ブランド」重視の傾向も強まっており、単に高級であるということだけでなく、ブランドに対する信頼性がより強く求められています。このような流れを受けて「LANCY」ではブランド価値の再定義、またこれまでは同じ店舗で扱っていた「L By LANCY」は、新たなブランドとしてのブランディングが今回のミッションでした。

LANCY
都会に暮らす洗練された女性たちのオリジナリティ溢れる着こなしをリードすることで、セルフブランディングサポートの実現を目指しています。またブランド価値への消費者の共感を高めながら、世界に向け愛やパワーを届けていきたいと考えています。店舗デザインのコンセプトは、「My place, My time」。彼女たちが住む「邸宅」をイメージし、上質な素材の質感と、全体を明るく暖かみのあるトーンにまとめることで、洗練された中にもリラックスできる空間をつくり上げました。

店舗では「邸宅」の象徴として「ゲート」を配し、また床の素材を変えることで表情の異なる空間をつくり出すことで部屋を表現しています。特に意識したのは、繊細な女性らしさを細やかなディテールで丁寧に表現することや、ブランドオリジナルのLC模様を配しながらラグジュアリーで且つオリジナリティ溢れる空間に仕上げること。ここに足を踏み入れるだけで、ブランドを感じて頂けると考えております。

LANCYの店内

L By LANCY
LANCYの持つエレガントで洗練された世界観はそのままに、より幅広く若い層がターゲットのブランドです。「My place, My time」をデザインコンセプトに、華やかさや煌びやかさがダイレクトに伝わる空間に仕上げています。一例として、L By LANCYのロゴにアレンジを加えたデザインをモチーフにしたシャンデリアを店舗中央にディスプレイ。とても華やいだ雰囲気を演出しています。

L By LANCYの店内

業務内容
コンセプト立案、基本計画、基本設計、実施設計、監修

マレーシア随一の観光地ペナン島最大級の話題の飲食街〝Gurney Food Hall″

マレーシア随一の観光地であるペナン島にある島内屈指のショッピングモール、Gurney Plazaの新たな高級フードホール〝Gurney Food Hall″の内装設計をGARDEが手掛けました。また本物件において、「アジア パシフィック プロパティ アワード2021-2022」のインテリアデザイン部門/レジャーインテリアカテゴリーを受賞しました。

2020年10月にオープンしたGurney Food Hallはペナン島最大の高級フードホールとして急速に好評を得ており、最大キャパシティ600人を誇る、今最も話題のフードホールです。マレー半島の西方、マラッカ海峡に位置するペナン島は古くから交易船の寄港地として栄えていたことから、東南アジアにおける最も重要な集散地として様々な文化を取り入れながら独自の発展を遂げてきた地域。食においても多種多様で、常に世界の美食の街ランキングの上位に選ばれるなど豊かな食文化が魅力の街です。

そんな街の歴史と食文化が深く関わりあうこの地に新設されたフードホールのデザインにあたり、与えられたテーマはペナン島の文化、食、芸術が伝わる、洗練された空間。そこで私たちは街が豊かになり発展を遂げてきた象徴であり街のアイコンとも言うべき「埠頭」「港」「パーム」「パティオ」で4つにゾーン分けし構成することを考えました。

まず、「埠頭ゾーン」は商人がペナン島に足を踏み入れる最初の場所。クールで清々しい海の青さとアーチ形の入り口がお客様を出迎えます。次に「港ゾーン」はペナンの工業地帯を象徴する賑やかで活気のあるエリア。そして「パームゾーン」は、ペナンの豊かな自然を伝統的な手工芸品で表現。暖かみのある落ち着いた空間です。最後に「パティオゾーン」は、たっぷりと日差しの降り注ぐ心地よいスペース。どのゾーンを選んでも、おいしい食事とともにペナン島の風景も体感頂けるものとなっています。

埠頭 街灯と建物案内板、フロートガラスの浮き玉

 魚やパドルをモチーフにた装飾品

パーム 天井から吊られた緑樹や籐のランプ

パティオ 抽象的な木のオブシェと光のカーテン

アジア パシフィック プロパティ アワード2021受賞!
Interior Design部門 Leisure Interiorカテゴリー

アジア パシフィック プロパティ アワードとは
International Property Media Ltd.が主催する「インターナショナル プロパティ アワード」のアジアパシフィック部門。アジアにおけるデザインアワードとしては、最も権威があり広く認知されている。アジア太平洋地域の25ヵ国・地域の商業、住宅用不動産の中から「開発」「建築」「インテリアデザイン」などのカテゴリー別に、優れた企業および物件を表彰しており、今年で27年目を迎える。約80名の専門家により、設計、品質、サービス、革新、独創性、持続可能性への取り組みに重点をおいて厳正に審査される。

業務内容
コンセプト立案、基本計画、基本設計、実施設計、設計監修

物件情報
Gurney Food Hall
オープン:2020年10月15日
所在地:4th Floor Gurney Plaza, Gurney Drive, 10250 George Town, Penang Malaysia
構造:地上4階(4階部分)

東京建物 本社機能の移転プロジェクト ~生き生きと働く人たちが新たなエネルギーを生むニュースタイルオフィス~

2020年東京建物の本社機能の移転プロジェクトにあたり、GARDEがコンセプト立案から、基本計画、基本設計、実施設計、監修を手掛けました。もともと本社を構えていた東京駅八重洲口前が大規模再開発プロジェクト対象エリアとなり、新本社ビル完成までの約5年間、そこからほど近い「東京建物八重洲ビル」に本社機能を移転することとなりました。これまで都心を中心に様々な大規模プロジェクトにおいて数多くのオフィスを提供し続け、グローバル都市「東京」の顔とも言うべき東京駅の真向かいに拠点を置く東京建物。そんな東京建物がつくる新たなオフィスとはどうあるべきなのか、私たちは真正面から向き合いました。

GARDEが考えるオフィスづくり
昨年、それまでは言葉だけは見聞きしていた「働き方改革」という概念がようやく現実のものとして定着し始めつつありますが、このプロジェクトは2019年にスタートしており、私たちは2018年頃から日本でも注目されるようになっていた ABW (Activity Based Working) という考え方をさらに踏み込んだ形でオフィスデザインとして具現化することを目指しました。

まず企業は働く人にとって快適な環境づくりをソフトとハードの両面で提供すること、それにより社員のワークライフバランス、もっと言えばQOLが向上し、より高いパフォーマンスを発揮することができるようになることで、企業としての生産性、業績の向上につながり、ひいては企業としてのサステナビリティを実現することができます。そこで働く人ひとりひとりが生き生きと輝き、そのエネルギーがチームや部署に波及しながらさらに新たな価値を生み出し進化していける空間としてのオフィスを創り出しました。

デザインコンセプト
GARDEが提案したのは、新たな“流れ”を生み出すオフィス。始まりは個人や小さなチーム単位で発生した小さいけれども勢いのある流れが、周囲を巻き込みさらに大きな流れとなる。そこで生み出された価値は街へと波及して、それはやがて街からオフィスにフィードバックされる、そんなイメージがこのデザインの根底に流れています。

流れをつくる仕掛けは様々な形で配置されています。固定席である必要のない部署のデスクはフリーアドレスとなっていますが、単に自由に座席を選べるというだけではなく、目的に応じて使える環境がいくつも設けられています。垣根を取り払って自由な動線を作ったり、あるところは相互の連携が自然に生まれるような開放感のある空間に、またあるところは適度に遮断することで集中力を高められる空間など、メリハリのある環境が作業効率を向上させます。

アトリエゾーン
クリエイティブな作業は、専門図書が並ぶ本棚に囲まれた創造力をかきたてる空間で。

パークゾーン
公園の心地よさを感じられる緑は、思考をリフレッシュする効果も。

スカンディアモス
癒しとなる天然苔の壁面がリラックスした空間をつくり、垣根を超えたコミュニケーションも可能に。

集中ブース
音を遮断した静かなブースは、集中力が高まって作業効率もアップ。
データを基にした快適な空間づくり
このオフィスのもう一つの特徴は、感覚的に美しく快適な空間であるだけではなく、データに基づいた分析によってその配置やキャパシティが決められているということ。このオフィス移設プロジェクトにあたり、東京建物様では事前に社員の時間ごとの在席率や滞在場所の分布、会議室の稼働率などのモニタリング調査、および社員へのWebアンケートを実施。様々な指標とともにマトリックスに落とし込むことで各スペースの診断、問題点のあぶり出しを行いました。その分析結果を設計へ反映することで実態に即した合理的な空間づくりができたと考えております。
業務内容
コンセプト立案、基本計画、基本設計、実施設計、監修
該当フロア:2階、3階、5階、7階、8階、9階、10階(※2階、3階、5階は一部分)
物件情報
所在地:東京都中央区八重洲1-4-16 東京建物八重洲ビル
規模:地上10階、地下2階
東京建物使用面積: 7,678.44㎡
移転時期:2020年5月~9月より順次
東京建物ワーカー数:約570名

ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座8 ~人が集うことで何かが生まれる場所~

GARDEがホテル共有部空間のデザインを手掛けた「ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座8」。キャンバスは、人が集うことで何かが生まれる場所。そこに「ホテル」の名称はありません。それはキャンバスの方向性が従来のホテルらしい、格式や形式を伴った伝統的なものではないからです。「人が集う場所」として機能させること、そこにいるだけで何かが生まれる場所を提供すること、それがキャンバスのスタイルです。

2F CANVAS LOUNGE

M2F FLAVORS & SOUND CULTURE LOUNGE

今やニュースタンダードとなったコワーキングですが、キャンバスでは開業当初より趣味に仕事に自由で創造的な時間を過ごしていただける、上質で快適な空間を提供してきました。

まさに時代を先取りしていたキャンバスですが、実際お客様はどのように利用されているのか、また現在の取り組みなどについて、総支配人の関寛子さんに伺いました。

「ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座8は2021年3月20日に開業2周年を迎えました。非常に不安定な世の中ではありますが、無事にこの日を迎えられましたのも、国内外からのお客様、協力会社の皆様、地域の皆様、そしてホテルで働くスタッフ全員のおかげです。

私どものブランドであるキャンバスは、ロイヤルパークホテルズの中で革新的なスタイルのホテルで、例えばスタッフの服装や髪型が自由であることなどから開業当初は驚かれるお客様もいらっしゃいましたが、開業から2年経った今ではこの自由な雰囲気に居心地の良さを感じてくださるお客様も増え、私どものホテルを第三の居場所として使っていただいている様子を嬉しく思っております。

キャンバスのフィロソフィー(哲学)である「We have fun」「We think local」「We are connected」を体現すべく、泊まるだけの場所ではないホテルとして、スタッフたちも楽しみながら日々新しいアイデアを生み出しております。開業初年度は宿泊客や地域を訪れるお客様がつながる場所として定期的にイベントを開催しておりましたが、現在はオンラインでつながる場として主にInstagram上で不定期にイベントを開催しております。

ニューノーマルな時代、これからどんなことが出来るのか、楽しみにしております。まだまだ困難な日々は続くかもしれませんが、安心安全を第一としつつも、楽しみを忘れずにまいりたいと思っておりますので、今後もザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座8をご利用いただけましたら幸いでございます。」自由で居心地のよい空間は、仕事に趣味にまさにもってこいの場所。人やアイデアが集う空間は連鎖を生み、何か新しいことを創造する原動力にもなることでしょう。気軽にゆったりと、自由でクリエイティブな時間を過ごしたい方には特にお勧めです。

13F CONCEPT ROOM

業務内容:ホテル共用部デザイン

ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座8
開業日:2019年3月20日(水)
所在地:東京都中央区銀座八丁目9番4号
構造・規模:鉄骨造、地上14階、高さ47.7m
客室数:121室(3-13階)
付帯施設:1階カフェ、2階ラウンジ、プライベートキッチン、ミュージックライブラリー、フィットネスジム、13階コンセプトルーム、14階レストラン

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