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延吉百貨大楼改装プロジェクト#2 ―2Fウィメンズフロア―

エリアトップの収益を誇り、延吉市を代表する高級百貨店「延吉百貨大楼」でスタートした、フロアごとのリノベーションプロジェクト。前回記事の4Fメンズフロアに続き、今回は2Fウィメンズフロアをご紹介します。GARDEは基本計画、基本設計、実施設計、設計監修、照明設計を担当させていただきました。

4Fメンズフロアの改装記事はこちら

デザインコンセプト&キーワード

延吉百貨大楼2Fウィメンズフロアの改装コンセプトは“Luxury from bold & delicate”。
このコンセプトを表現するのに不可欠なのが、Simple, Elegant, Playfulの3つのキーワードです。シンプルかつエレガントな女性らしい柔らかなフォルムでフロア全体を構成。シンプルな中にもアクセントとなる部分を形状や色で遊び心を演出し、空間を楽しく回遊できる仕掛け造りで、若い世代にも支持されるファッションフロアとなるよう期待し設計しました。

フロアの見どころ①:煌びやかなイベントスペース

ウィメンズフロアにおいて、期間限定のPop-Upイベントスペースは来館者の回遊を促すという重要な役割を担っています。そのためフロア内で華やかさを魅せるエリアとして、見せ場となるようなデザインを意識し造り上げました。

複数あるPop-Upスペースの天井は全て意匠を変え、それぞれの空間コンセプトと光の演出に違いを与えました。シンプルな空間の中にも変化を生み出すことで、来館者が飽きることなくフロア内を隅々まで楽しんでいただけるよう設計しています。

高さのないフロア天井により大きな照明や立体的な作りが難しいという条件下で、奥行き感・立体感を出し、目を引く意匠とするため、天井鏡面を施し、ランダムな長さで映り込ませた吊り照明で演出した。照明はゴールドとシルバーをミックスして単一的な見え方にならないよう工夫。 女性らしい繊細さとキラキラとした輝きを放つ、立体的なPop-Upスペースが完成した。
フロアの見どころ②:魅力際立つランジェリーエリア

クライアントとテナントから好評を博すランジェリーエリア。
エリア全体の統一感を出しつつも、各テナントがセミプライベートな空間であるという感覚を引き出すために構築したスリットのデザイン。スリット部分のパイプは6角形にすることで面が増え、光の反射によりきらきらと瞬く印象をもたらす効果があります。

より世界観を強調するために、中島区画には壁面造作及びフィッティングルームを施しました。これにより2Fフロアの中でランジェリーエリアがより際立つ存在となり、デッドスペースを活かすというクライアントの要望にも応えることができたと考えています。

こうして、暖かみのある女性らしい装いを表現したランジェリーエリアが誕生しました。

デザイナーメッセージ:全体のリノベーションを終えて・・

商業マーケットはチャネルが多様化し、特にオフライン消費がオンライン消費に押し負けているという傾向が続いています。ただし一方では、オンライン疲れで、オフライン消費の楽しさを再認識する傾向も見られます。買うことだけでなく、知ること、話すこと、実物を見ること・触れること、オフライン消費は様々な体験に溢れています。室内設計が出来ることは、そうした体験を強調し、長期記憶として残し、またあの場所に行こうと思い出させることです。延吉百貨は、更に愛される施設を目指して生まれ変わり続けます。その姿を地域の皆さんにも見守り続けてほしいと思います。

担当デザイナー

若山晃久/Akihisa Wakayama
デザイン事業本部 大型デザイン1課 チーフデザイナー

国内の設計事務所にて、大型商業施設のデザインに従事した後、2021年ギャルドに入社。百貨店等大型商業施設を中心にデザインを行う一方、専門店等も多数手がける。現在はアジアのプロジェクトを中心に幅広く活動を行っている。

物件情報

名称:延吉百貨大楼2Fリノベーション(ウィメンズフロア)
正式開業:2023年8月18日
所在地:吉林省延吉市光明街608号
設計対象面積:7600㎡

GARDEがこれまで手掛けたプロジェクトは以下よりご覧いただけます。
https://garde-intl.com/top.php?lang=jp#

延吉百貨大楼 改装プロジェクト#1 ―4Fメンズフロア―

吉林省内の延边自治州、延吉市にある高級百貨店「延吉百貨大楼(Yanji Department Store)」は、エリアトップの収益を誇り、延吉市を代表する百貨店です。

そんな延吉百貨大楼がフロアごとのリノベーションプロジェクトをスタート。昨年の6Fキッズフロアに続き、4FメンズフロアにおいてもGARDEは基本計画、基本設計、実施設計、設計監修、照明設計を担当させていただきました。

6Fキッズフロアの改装記事はこちら

改装の全体感

改装前の館内の全体像は、動線が単一的かつフロアの空間意匠も統一的。テナントや商品がきちんと整理されていると感じる一方で、商業施設=楽しいものと捉え、もう少し刺激や変化を加える必要がありました。
そこで、空間意匠の大きな方向性として「フロアごとに、テナントに沿った特徴を創出」、「動線に変化を持たせ楽しく回遊」、「機能やアイキャッチな箇所を増やし、見どころ豊富な売場を展開」のように設定し、各フロアの改装に繋げていきました。

デザインコンセプト&キーワード

延吉百貨大楼4Fメンズフロアの改装コンセプトは“NOBLE MODERN MEN’S LOUNGE” ∼シンプルで洗練された落ち着きのあるラウンジ空間∼。
あまりカラーを多用せず、高級感と質感を上げたいというクライアントの希望により以下のキーワードで構成しました。

  • BEIGE TONE
  • グレーベージュを基調とした明るく高級感を感じる空間を目指し構成。
    同系色でまとまったシンプル空間は単調な印象を与えてしまう点を考慮し、

  • LINE
  • ラインデザインを用いて空間全体にダイナミックな動き・変化を加え、

  • GEOMETRY
  • 空間のアクセントとして、幾何学模様デザインを随所にあしらい立体感・変化を作る。

    この3つのキーワードによって、デザイン性ある上質な空間の演出に成功しました。

    テナントのグレードアップとフロアの開放感をデザインで両立

    売場は大きく分けて、壁面店舗と中島店舗の2つ。壁面店舗は面積が大きく取れ、壁面も多い為、有力なブランドが入る構図が一般的です。一方で中島区画は、商品展開量が限られ壁面も少ないため、力の及ばないテナントが入るもの、という先入観があることも事実。この点を払拭し、中島区画にも優良店舗を入れる事で、壁側・中島との格差を減らし、フロア全体のテナントグレードアップを図りました。その為に、中島区画の魅力創出として、一点は動線的な有利性、もう一点は中島区画の意匠性の向上を目指しました。

    上記の取り組みにより、中島区画にも有力なブランドのリーシングが決まったものの、テナントのレイアウトに対する要求はフロア設計の機能を崩す恐れのあるものでした。
    テナント内に壁を作ることで影が生まれ、壁面店舗を隠してしまうことを防ぐため、中島区画は見通し度の高い設計規制を設けています。設計監修として、開業ギリギリまで粘り強く交渉を続けることで、フロア全体が閉鎖的になることを防ぎ、テナントのグレードアップとフロアの開放感の両者を叶えることができました。

    改装の最難関、照明計画

    照明は器具一つで空間の雰囲気・印象を大きく変化させる重要な要素の一つです。
    昨年手掛けた6Fキッズフロアの改装では、想定よりもフロアが暗く、特に中島区画のテナントは照明を追加しないと照度が不足するという問題が発生。
    中国では施工会社の予算の関係で、常に照明器具の置き換えが生じ、コロナ禍も相まって希望の器具の調達が更に困難となります。
    前回の課題を確認・クリアしながら、求める照度・効果に向けて設計しつつ、現場で起こるリスクも考慮しながら進めることで、照度の課題を大幅に改善することができました。

    メンズフロア改装までの道のり

    百貨店のメンズフロアは、ウィメンズフロアに比べてケーススタディとなる施設や空間が少ないため、どのような空間が改装後のフロアとしてふさわしいのか、イメージ共有の段階でクライアントと幾度となくコミュニケーションを取り合いました。

    たとえば、天井や床の色味のバランス感やデザインの複雑さの度合いについての議論では、動線的・視覚的にフロアの端々まで来館者が回遊する効果を持たせるため、天井・床にダイナミックな斜めライン意匠を用いるなど、手探り状態の中でも議論を続け、着地点を見出してきました。これを繰り返し、理想通りの空間へ1歩ずつ近づけることができたと実感しています。

    天井は白を用いてシンプルに、床は3色を貼り分け。上下に同じ角度のラインを施すことで空間の統一感をも生み出す。
    物件情報

    名称:延吉百貨大楼4Fリノベーション(メンズフロア)
    正式開業:2023年5月31日
    所在地:吉林省延吉市光明街608号
    設計対象面積:7600㎡

    次回は同物件の2Fウィメンズフロアの改装秘話に迫ります。

    GARDE for『ハイアット ハウス 東京 渋谷』「多様性のまち SHIBUYA」をインテリアデザインに反映

    「暮らすように滞在する」というコンセプトの元、ハイアットホテル&リゾーツのブランドとして誕生した「ハイアット ハウス」は、世界中に100軒以上もの拠点を構え、ワンランク上の広々とした空間で、自宅のように滞在を楽しめる施設です。
    東京初進出となる「ハイアット ハウス 東京 渋谷」は、100年に一度ともいわれる渋谷駅中心地区の再開発プロジェクトにおける主要施設の一つ「Shibuya Sakura Stage」内に位置し、スイート18室を含む全125室の客室を備えています。

    GARDEは共用部から客室全般の基本計画、基本設計、実施設計、設計監修、アートコーデイネート、調達設置、サイン基本計画を担当させていただきました。

    デザインコンセプト

    最新のトレンド・カルチャーを享受できる渋谷は、東京の中でも最も多様な価値観を体感する場所である一方で、隣接した高級住宅や古き面影を残す路地や横丁という魅力も備えています。
    「多様性のまち SHIBUYA」に見受けられる、この「2 面性」を体験として刻んでいただけるような空間デザインを意識し、インテリアに反映させています。

    渋谷のまちの魅力を発信すべく、3 階エントランスから各客室まで展開されたアートワークもまた、空間デザインコンセプトと連動した「2面性」というテーマで造られています。
    渋谷の本質と多様性・双方性を表現した8 名のアーティストによる19点の作品が、施設の共有スペースを彩ります。

    東京のトレンドをけん引する多彩なショップやレストランに囲まれ、さまざまなカルチャーが交わるこの場所に、渋谷ならではの気軽に「暮らす」滞在体験空間が完成しました。

    ハイアット ハウス 東京 渋谷のハイライト

    東京屈指のエキサイティングな街・渋谷の中心で、『Shibuya Sakura Stage』の主要施設の一つとして東京初のハイアット ハウス 東京 渋谷が開業。渋谷に出店することが長年の悲願であったクライアントに対し、施設自体のコンセプトと渋谷の街とがシームレスにブレンドする空間で、出先でも我が家のように便利で快適に滞在いただける空間の提供を目指しました。

    ハイアット ハウス 東京 渋谷には客室を始め、快適に過ごせる要素が全体に散りばめられています。
    エレベーターで16階に上がると広がるレセプションロビーでは、オルゴールアートが優しい音色でゲストをお迎えします。 同フロアにあるレストラン・バーは、屋外庭園を借景に、ロングカウンターとラウンジコーナーを配置。宿泊ゲストに限らず、自由にコミュニケーション、利用が可能なエリアです。

    屋外庭園に面した開放的な空間の16階マルチファンクションルームは、小規模なミーティングや展示利用に適した空間として多用途にご利用頂けます。

    渋谷エリアでは希少な、渋谷のまちを見下ろすことができる屋内プールはプールサイドにジャグジーを配置しました。24時間利用可能なフィットネスジムと共に、まちの喧騒の疲れを癒す上質で優雅な時間をお過ごしいただけます。

    施設概要

    名称:ハイアット ハウス 東京 渋谷
    所在地:東京都渋谷区桜丘町 3-3
    階数:地上30階建て (1~3階、6~16階部分)
    客室数:125 室
    事業主:東急不動産株式会社
    建築設計:戸田建設株式会社
    インテリア設計:株式会社 GARDE
    照明設計:株式会社ライトモーメント

    ハイアット ハウスについて

    短期でも長期でも滞在に必要なものが全て揃う、広々とした居住空間を求めるお客様のためにハイアットハウスの施設はデザインされています。世界中に100軒以上あるハイアット ハウスでは、自宅のようなアメニティ、サービス、現代的な空間を完備。宿泊のお客様に朝食を無料で提供するほか、バーエリアではクリエーティブな厳選メニューを用意し、仕事や交流、くつろぐ際にも快適な共有スペースを屋内や屋外に設けています。

    ■ハイアット ハウス
    https://www.hyatt.com/ja-JP/brands/hyatt-house
    ■ハイアット ハウス 東京 渋谷
    https://www.hyatt.com/ja-JP/hotel/japan/hyatt-house-tokyo-shibuya/tyoxs

    デザインアワード受賞数最多、カンデオホテルズ京都烏丸六角の魅力にフォーカス

    毎年フランス・パリで開催される国際的なデザインアワード「DNA Paris Design Awards」INTERIOR DESIGN – Renovation部門にてHonorable Mention(特別賞)を受賞したカンデオホテルズ京都烏丸六角。今回の受賞をもって6冠を達成しました。

    この物件の最大の特徴は、京都市登録有形文化財である貴重な町家「旧伴家(ばんけ)住宅」を中心にデザインしていることです。当時の貴重な伝統建築を保存・修復し、ホテルとしての新たな価値を持ちたいというクライアントのビジョンを実現しました。

    町家建築の中でも、豪商が手掛けた贅沢な間取りと内装の空間であり、四季の移ろいを楽しむ中庭をはじめ、心の豊かさや心地よさをメインに設計されている伴家住宅。

    既存の良さを活かしたデザインコンセプトとして、伴家住宅そのものの尊さを宝石の輝きに例え、要所に京都の伝統工芸品や装飾品を現代風にアレンジしたビジュー(宝石)を思わせるきらびやかな装飾を施しています。

    多くの歴史的建築物や歴史的面影が残る周辺環境に馴染み、調和するデザインをかなえるため、内装は和風建築の特徴である直線を活かしつつ、パターンにはトラバーチン色や暖かさのあるピンクブロンズのディティールを組み合わせることで意外性のある洋風デザイン空間に仕上げました。ウォールナットを採用することで高級感も演出しています。

    宿泊者に、歴史ある京町屋を隅々まで感じ、京都の伝統文化に浸り堪能してもらう空間として、ライブラリーやバーといったスペースを新設。滞在型文化体験施設としての機能を持たせています。

    ◆アワード概要
    DNA Paris Design Awards 2023
    フランス・パリで開催されるDNAパリ・デザイン賞は、建築、インテリアデザイン、ランドスケープデザイン、グラフィックデザイン、プロダクトデザインの各分野で優れたデザイナーを選出するアワード。世界中のデザインにおける優れた才能を支援すべく、さまざまな活動やアワードを運営するクリエイティブ集団、Farmani GroupとIn Betweenによって設立された。

    ◆プロジェクト概要
    受賞プロジェクト:カンデオホテル京都烏丸六角
    受賞カテゴリー:INTERIOR DESIGN – Renovation

    GARDEでは、物件デザインが完成した後も、その空間やデザインの素晴らしさを広めることを目的に、毎年国内外のアワードへのエントリーを数多く行っております。

    パリ発の注目ブランド【Polène(ポレーヌ)】 9月にオープンするアジア初旗艦店の制作にGARDEが参画

    レザーグッズを扱うパリ発の注目ブランド「Polène」。
    パリを拠点に2016年から旗艦店とECにて販売を開始しています。2020年には日本でもオンラインショップでの販売が開始され、2023年9月1日(金)、遂に東京・表参道エリアにアジア初の旗艦店がオープンします。
    このプロジェクトでGARDEはローカルアーキテクト(基本設計・実施設計)・PM・施工を担当させていただきました。

    パリ・ニューヨークの店舗と同様に、フランス出身デザイナー Valériane Lazard(ヴァレリ,アン・ラザール)氏が設計を担当。新店舗はPolèneの世界観を踏襲しつつも、東京店ならではのエレメントとして漆塗りの置き式什器を設置し、日本らしさを表現しています。
    その他、フランス人ガラスアーティストのEmmanuel Barrois(エマニュエル・バロワ)氏による、ミッドナイトブルーの大判アートガラスや、レザーを用いた天井の照明器具と階段の手すり、落ち着いたカラートーンの砂漆喰で均一に仕上げられた壁が、Polèneらしい空気感を纏い空間を演出しています。

    ♦ブランドについて
    2016年に三兄妹によってフランスで立ち上げられたメゾン「ポレーヌ」。卓越した職人のサヴォア・フェール(匠の技) によって表現される、独創的なフォルムが特徴的なレザーグッズとジュエリーコレクションを展開。それぞれのアイテムのデザインからは、ミニマリズムとクリエイティビティの融合が感じられる。スペインの皮革産業で有名な街、ウブリケの職人が手作業でバッグを一つずつ製作。

    Polène日本公式オンラインストア:https://jp.polene-paris.com/
    東京店舗:https://jp.polene-paris.com/blogs/stores/tokyo
    プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000122219.html

    画像提供:Polène

    その他、GARDEが手掛けたプロジェクトは以下リンクよりご確認いただけます。
    https://garde-intl.com/top.php?lang=jp

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