Event

地方創生の新時代へ!GARDE、創業40周年を記念し『メタバースアワード』を開催

創業40周年を記念し、地方活性化に貢献する取り組みを表彰する「地方創生メタバースアワード」を開催します。

本アワードは、地方自治体からの需要とクリエイターの力をかけ合わせ、メタバース技術を通じて地域の魅力を広く発信し、地方経済や文化の発展をサポートすることを目的としています。クリエイティブで地方を活性化させるアイデアを2024年11月1日からGARDE専用サイトで募集を開始いたします。

地方創生の新たなステージ

近年、地方自治体は人口減少や高齢化、地域経済の衰退など、多くの課題に直面しています。これらの課題に対して、従来のアプローチだけでは限界がある中、デジタル技術、とりわけメタバースのような先端技術を活用した新たな解決策が注目を集めています。メタバースを活用することで、地域の魅力をバーチャル空間で発信し、ローコストでより多くの人々に届けることが可能となります。

また、地域の問題を解決するためには、地元の自治体だけでなく、新たな視点や創造的なアイデアを持つクリエイターの力も必要です。本アワードを通じて、地方自治体は地域ブランディングの専門知識やデザインの視点を取り入れながら、課題解決に向けた新しい発想を得ることができると考えています。また、クリエイターには、自らのクリエイティブな力を活かして、地方に貢献する機会を提供し、新しい才能の発掘と育成を支援します。

地方創生とメタバースの融合

デジタル技術が進化し、メタバースという新しいバーチャル空間が世界的に注目を集めています。メタバースは単なる娯楽や交流の場にとどまらず、社会や経済、地域に新たな価値を生み出す可能性を秘めています。その一方で、地方創生における課題として、過疎化や地域経済の停滞、伝統文化や自然資源の保護・継承が挙げられます。こうした課題に対し、デジタルの力を活用して地域の魅力を世界に発信し、新しい価値を生み出すことが、求められています。

このプロジェクトは、メタバースのプラットフォームを活用して、地方の魅力をデジタル空間で再発見し、郊外と都市部、さらには海外との新しいつながりを創出することを目指しています。私たちGARDEは、メタバース内で地方を象徴する空間や体験を創造し、訪問者にインタラクティブで没入感のある体験を提供します。これにより、地域の文化や伝統工芸、自然資源をリアルに近い形で体験でき、地方への関心や訪問機会の増加に貢献したいと考えています。

GARDEは、長年にわたり都心を中心としたラグジュアリースペースデザインで培ってきた実績と知見を、地方の活性化に活かすことで、メタバース技術の可能性を追求し、現在成功率が10%とされるメタバースプロジェクトに新しいアプローチを提案することで、地域活性化の新たな道筋を切り開きます。このアワードを通じて、デジタル技術とクリエイティブな発想を融合させた地方創生のイノベーションを促進し、地方が抱える課題解決に貢献することを目指しています。 地方自治体との連携も視野に入れ、実効性の高いプロジェクトの実現をサポートしていきます。

詳細および応募方法については、公式ウェブサイト(https://garde-metaverse-award.com/)をご覧ください。

「地方創生×メタバース」 プロジェクト概要

●募集アイデア●
本アワードでは、以下のような幅広いテーマでアイデアを募集します。

・観光振興
・スポーツ活性化
・特産品販売
・定住促進
・VR職業体験
その他、地方再生につながる革新的なアイデア

●応募概要●
募集テーマ:「メタバース技術の活用」で「地方創生」を叶えるアイデア
応募期間:2024.11.01 – 2025.04.30
応募資格:応募者は個⼈またはグループとし、2024年11⽉1⽇現在で日本国内に居住されている高校生以上の方(グループの場合は全員)とします。グループでの共同応募も可能です。共同で応募される場合は、グループを構成する全員の同意が必要です。
応募点数:自治体を指定したご応募・自治体を指定しないご応募それぞれお一人様/1点まで(団体で応募される場合も「1団体につき/1点」となります)
応募条件:応募に際して、地方創生メタバースアワード応募要領に合意し、これらを遵守することを条件とします。

賞金制度:
最優秀賞1名(賞金300万円)
優秀賞1名(賞金100万円)
自治体賞4名(賞金25万円)

※審査はGARDE社内で、原則非公開にて行います。
※受賞式については、後日発表いたします。

公式ウェブサイト(https://garde-metaverse-award.com/

●スケジュール●
応募受付開始:2024年11月1日
応募締切:2025年4月30日
受賞発表:2025年5月15日
表彰式(予定):2025年5月下旬〜6月上旬

♦担当者コメント♦
近年、デジタル技術の急速な進化により、現実世界と仮想世界が融合する新たな体験が次々と誕生しています。その中でも、メタバースは単なるバーチャル空間の枠を超え、社会や経済活動を支える場として大きな可能性を秘めています。特に地方創生において、メタバースは地理的な制約を超え、地域の魅力を国内外に発信し、新しい価値を創出するツールとして注目を集めています。

私たちGARDEは、これまで培ってきた空間デザインの知識と技術を活かし、デジタル空間でも地域に根ざしたクリエイティブな空間を創造し、新しい形のコミュニティやビジネスモデルの支援を目指しています。その一環として、地方の文化、風土、伝統をメタバースの中でどのように表現し、新たな価値を生み出せるかを探求するために、本プロジェクトを立ち上げました。

さらに、このプロジェクトでは、地方創生に貢献するだけでなく、未来を担うクリエイターの発掘にも力を入れています。メタバースという新しい舞台で、既存の枠にとらわれない独創的なアイデアやデザインを生み出せるクリエイターたちとの出会いを通じて、私たちも新たな可能性を切り拓きたいと考えています。未来のクリエイターが地域の魅力を最大限に引き出し、デジタル空間で地方を輝かせる新しいアプローチを提案してくれることを期待しています。 (アワードプロデューサー 三沢)

GARDEで開催中の田岡智美 個展「COODE ’24 : FRUiTS JUICE DRINKS (+ OLD SPICES)」気鋭アーティストとキュレーターへ展示会場にてインタビュー

2024年10月18日~11月2日までGARDE Galleryで開催している、現代芸術アーティスト田岡智美(Taoka Tomomi)氏の個展「COODE ’24 : FRUiTS JUICE DRINKS (+ OLD SPICES)」。

空間+アートプロジェクトを数多く手掛けるGARDE本社内ギャラリーでの開催にあたり、創作についての想いや同氏の活動に強い影響を与えているファッションカルチャーとの関わりを伺いました。
また今回の取材では、キュレーターを務める美術批評家の飯盛稀(Isakari Mare)氏にもこの個展に期待している事などをお話いただきました。

絵画は半永久的なものだからこそ「未来」に開かれた「今」が重要

こう切り出して下さったのはキュレーションを担当されている飯盛氏。絵画というものは長持ちするものだからこそ、時代の変化に伴って「再生」され続けることが大切であり、田岡作品が反映する美学の「現代性」に注目してもらいたいという想いと共に、この個展開催によってその存在をより多くの人々に知ってもらいたいと語ります。

「コーディネイトして絵画を創作する」このユニークな発想の原点とは?

創作にあたり田岡氏は、それ単体では価値の無いものでも、組合せによって価値を創造する、つまり「コーディネイト」によって成立する原宿のストリートファッションを引き合いに出し、例えば絵画でありながら立体物と組み合わせたり古い作品を再利用する等、いわゆる絵画のセオリーに囚われない手法を駆使して作品を生み出しています。

そして、どんなにセオリーから逸脱しても「結局は服」であるように「結局は絵」だと語ります。田岡氏は、従来の価値観をアップデートする事で、専門的な知識がないと分からないものではなく、それぞれの感性で楽しむことができるものとしてアート作品を提示しているのです。

枠に捕らわれないが故にアート作品として独自の魅力を持つ作品群をぜひ会期中にギャラリーまでお越しの上、ご堪能ください。
作家プロフィールや展示作品はこちらにて紹介しています。

田岡智美 個展「COODE ’24: FRUiTS JUICE DRINKS (+ OLD SPICES)」開催概要

会期:2024年10月18日(金)~11月2日(土)※日祝休
時間:11:00~18:00
会場:GARDE Gallery(東京都港区南青山5-2-1 NBF ALLIANCEビル4F)
入場:無料
作品販売予定URL:https://www.art-adf.jp/

GARDE Design Magazineではプロジェクト実績の紹介、建築やデザイン、アート関連のトレンド、イベント情報を掲載しています。
プロジェクトポートフォリオやGARDE最新情報はオフィシャルサイトにて公開中です。

>プロジェクトポートフォリオはこちら
>GARDE最新情報はこちら

アートギャラリープロジェクト:田岡智美 個展「COODE ’24 : FRUiTS JUICE DRINKS (+ OLD SPICES)」

絵画を「コーディネート」することで、その新しいありかたを提示するアーティスト・田岡智美の個展「COODE ’24 : FRUiTS JUICE DRINKS (+ OLD SPICES )」が2024年10月18日(金)から11月2日(土)まで東京・表参道のGARDE Galleryにて開催されます。是非お気軽にお立ち寄り下さい。ギャラリー開催中は作品をご購入いただくことが可能です。

Tomomi Taoka “COODE ’24: FJD (+OS)_8 #2013 #rimeiku” 2024

本展のタイトルで FRUiTS(フルーツ)の i が小文字になっているのは、原宿に集まる若者たちのファッションを記録した伝説的なストリートスナップ誌『FRUiTS』に由来します。高級なブランド服への反発として古着をとりいれたストリートファッションに影響を受けてきた田岡は、その独特な視点から美術における展覧会のありかたや絵画のありかたに疑問を投げかけます。

Tomomi Taoka “COODE ’24 : FJD (+OS)_7 #2014 #rimeiku” 2024
Tomomi Taoka “COODE ’24 : FJD (+OS)_6 #2024 #nyuu” 2024
Tomomi Taoka “COODE ’24 : FJD (+OS)_11 #2024 #nyuu” 2024
Tomomi Taoka “COODE ’24 : FJD (+OS)_12 #2013 #rimeiku” 2024

「ファッションの世界では、常に新しいものだけが良いものではなく、当時価値がないと言われていたものに今価値が出たりする現象や、新しいものと古いものをうまく組み合わせる文化がある」と田岡は語ります。美術の世界では、展覧会のたびに新作を展示することが前提とされ、過去作が再び展示されることは多くありません。しかし、本展に際し、田岡は「過去に作った作品、ある部分だけを切り取ると古いものや失敗作、チープなものも、それらをうまくコーディネートすることで「今」の美術作品に変えることができるのではないか」と考え、自身が受験生や大学生だったときに描いた油絵をアレンジした作品を制作しました。

Tomomi Taoka “COODE ’24: FJD (+OS)_13 #2019 #rimeiku” 2024
Tomomi Taoka “COODE ’24 : FJD (+OS)_5 #2019 #rimeiku” 2024
Tomomi Taoka “COODE ’24 : FJD (+OS)_1 #2015 #rimeiku” 2024
Tomomi Taoka “COODE ’24 : FJD (+OS)_2 #2019 #rimeiku” 2024
Tomomi Taoka “COODE ’24 : FJD (+OS)_3 #2019 #rimeiku” 2024

また、梱包材ないし支持体として用いられるロープや木箱、発泡スチロールなど、作品をとり巻く異質な素材が「アクセサリー」のように使用されることもあります。わずかなバランスの変化でも全体の印象は全く異なるものになるかもしれません。田岡は、絵画を「コーディネート」することで、「絵になる」というのはどういうことなのかを探求しています。

Tomomi Taoka “COODE ’24: FJD (+OS)_9 #2024 #nyuu” 2024

新しいものや質の高いものばかりでは飽きてしまうこともあります。しかし、時には「合わない」と思われるような組み合わせが新しい美意識や流行を生み出すこともあるように、田岡は、古いものや価値がないと思われているものを「スパイス」のように効かせることで、絵画のありかたを更新します。
10月19日(土)18時から、『FRUiTS』創刊者の青木正一氏と彫刻家の鈴木操氏をゲストに招き、トークイベントを行いますのでお気軽にお立ち寄り下さい。

田岡智美プロフィール

1995年 千葉県生まれ
2019年 武蔵野美術大学 造形学部 油絵学科 卒業
2021年 武蔵野美術大学大学院 造形研究科 美術専攻 油絵コース 修了

個展
2020年「Zigusoopazurucoodineito」(数寄和)

​​主なグループ展
2021年「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2021」(丸の内オアゾOO広場)
2021年「HOLBEIN ART FAIR 2021」(+ART GALLERY)
2021年「Born New Art」(+ART GALLERY)
2020年「ホルベイン・スカラシップ成果展」(佐藤美術館)
2019年「買える!アートコレクター展」(MEDEL GALLERY SHU)
2019年「DorooinguDorouwingu」上久保徳子・田岡智美 二人展(Art Center Ongoing)
2018年「WONDER SEEDS 2018」(トーキョーアーツアンドスペース本郷)

ウェブサイト
https://tt0742tt.wixsite.com/taokatomomi
参考:ホルベイン・スカラシップ奨学生  アーティスト インタビュー
https://www.holbein.co.jp/blog/topics/a683

田岡智美 個展「COODE ’24: FRUiTS JUICE DRINKS (+ OLD SPICES)」開催概要

会期 2024年10月18日(金)~11月2日(土)※日祝休
時間:11:00~18:00
会場:GARDE Gallery(東京都港区南青山5-2-1 NBF ALLIANCEビル4F)
入場 無料
作品販売予定URL https://www.art-adf.jp/

GARDEで開催中の篠原唯紀 個展「FROZEN SUPERMARKETS」作品誕生エピソードをインタビュー

2024年9月28日~10月12日までGARDE Galleryにて開催している、現代美術アーティスト篠原唯紀氏の個展「FROZEN SUPERMARKETS」。
アートや飲食と密接に関わるプロジェクトも多く手掛けるGARDEでの開催にあたり、作品に対する思いやアーティストとしての原点を伺いました。

私たちの生活が他の生物(とくに食物としての動物)を犠牲にして成り立っていることへの葛藤をテーマに映像やインスタレーションとして作品を制作している篠原氏。幼少期からペットとして、また食物としての動物に強い関心があり、その思いが今のアート作品という形を生み出したと言います。
今回の個展「FROZEN SUPERMARKETS」というタイトルも、人間が生物の命を消費して生きている構造に対して「思考停止」(フリーズ)して過ごしている状況を象徴しています。

慣れ親しんでいた音楽と映像から生まれるアート作品

今回展示しているアート作品はアナログやフィジカルで生成された作品を写真や映像に落とし込むことで成り立っています。幼少期から身近に感じていた音楽や、大学でグラフィックを学びながら独学で習得した映像の世界。これらが篠原氏にとってアートの中の言語であり、自身のテーマである「動物」を表現するツールなのです。

一部展示アートのご紹介

《round and round》
映像作品であるものの納品はテープという斬新な切り口が面白い“round and round”。手触り感やモノの変化を大事にしたいというコンセプトからこの手法を採用しています。
音楽活動とアートの繋がりが見事に具現された作品です。

《PRAY FREE》
自身が食べたものを紙に残し記憶させることで命に対する敬意を表現した作品“PRAY FREE”。食べたものすべてを記憶することは難しいですが、摂取したものは自身の糧となり身体の一部となります。食材への感謝の意として使われる「いただきます」は食物に対する敬意であると同時に、命を摂取することへの葛藤も含まれているのではないかと解釈した作品です。

ヴォーカリストQ.iと現代美術アーティスト篠原唯紀の2つの顔

Milk TalkのヴォーカリストQ.iとしても活動する篠原氏。アーティスト活動名(英語表記)のyuqi shinoharaから取ったこの活動名は、音楽に対してよりシンプルな向き合い方を選んだ結果だと言います。
そのうえで、アーティスト活動時は自身のアイデンティティをより分かりやすく、アート作品を見てくれる人に届け、世界観を味わってほしいという思いから本名で活動されています。

自身にとって初の個展である今回のアートイベントでは、マルチに活動する篠原氏だからこそ創り出せるアート作品と世界観を覗くことができます。ぜひ一度ご堪能ください。

篠原唯紀 個展「FROZEN SUPERMARKETS」開催概要

会期:2024年9月28日(土)~10月12日(土)※日祝休
時間:11:00~18:00
会場:GARDE Gallery(東京都港区南青山5-2-1 NBF ALLIANCEビル4F)
料金:無料

篠原唯紀 / Yuqi Shinohara プロフィール

1991年⽣まれ。2014年、広島市立大学芸術学部を卒業後、渡米。ニューヨーク・ブルックリンを拠点に制作。Q.i の名義でミュージシャンとしても活動し、自身のインディーズバンド Milk Talk は、2023年11月にフルアルバムをリリース。花澤香菜《タイムマシーンは突然に》や、オンラインゲームFortnite、Maison Kitsuné秋冬コレクションへの楽曲提供を行うなど、時代の感性を反映したレトロなエレクトロファンクの作風は、国やジャンルの境界を超えて親しまれている。
音楽関連のアートディレクターとしても活躍しており、Mili《Grown-up’s Paradise》、バンドじゃないもん!《ゴッドソング》、ポップしなないで《魔法使いのマキちゃん》などのMV監督、でんぱ組.inc《商売繁盛!元祖電波屋!》や King & Prince《なにもの》、SKY-HI《To the First》などの美術を担当したほか、キズナアイの作詞・衣装デザイン、ウタの「NHK紅白歌合戦」ステージデザインや『ONE PIECE FILM RED』ワールドプレミアで行われた「UTA LIVE in 日本武道館」の演出などを手がけている。

Instagram: @q.imusic

GARDE Design Magazineではプロジェクト実績の紹介、建築やデザイン、アート関連のトレンド、イベント情報を掲載しています。
プロジェクトポートフォリオやGARDE最新情報はオフィシャルサイトにて公開中です。

>プロジェクトポートフォリオはこちら
>GARDE最新情報はこちら

ADFアートギャラリープロジェクト 渡邊一翔個展「Atomic Love – Transience of Life – 」展

日常の尊さを謳うアーティスト渡邊一翔による「Atomic Love – Transience of Life – 」展を2024年8月18日(日)から8月30日(金)まで開催いたします。本展では、私たちを取り巻く日常のありがたさ、尊さを再認識する作品が展示されます。戦後80年近くを迎え、戦争体験の語り手が稀有な存在になる中、平和な令和の日本で戦争のリアリティーについて考えることを通じ、平凡のかけがえのなさを再認識する構成です。アーティストとして、今の平和な⽇本に⽣きる若い世代の⼀人の人間として“過ちを繰り返さぬ”ためにできることを実践する作家のメッセージにご注⽬下さい。

渡邊の作品は、儚く消えゆこうとするオブジェを通じ、平和な環境の尊さに改めて気づかせてくれます。“戦争を知らない子どもたち”の子どもたちに該当する渡邊が戦争を語ることは無知であり、時に礼を失する⾏為になるのでしょうか。国際情勢の変化はあれ、平和で秩序ある日本において、今なお戦争を現在性のある課題として切実にとらえる渡邊の視点には、彼らの世代が感じる等身大のリアリティーをはじめ多くの示唆が込められています。

渡邊にとって、戦争のリアルとは、かけがえのない、平凡な幸せの日常が一瞬で消え去ることです。それは戦争に限ったことではありません。天変地異や紛争、疫病は潜在的に私たちの平和な秩序を常に脅かしています。災禍はこれまで人類が築いてきた人間讃歌の財を一瞬でかたちなきものへと変容させ、永遠に喪失させます。

今回、展示する《接吻(Le baiser)》は、日常の幸福の刹那を切り取った象徴的作品です。ロダンの彫刻をモチーフに、男女の至福の瞬間そのものおよび、それを象った彫刻が災禍により、失われてゆく二重の過程が感じ取れます。

我々の当たり前の日常を異化し、生きがいのある瞬間を顕著に再認識させてくれるのは愛のある歌だ、と渡邊は考えます。音楽は人を豊かにするものであり、人間の情愛をモチーフにした歌はその中でも至高の部類に位置すると考えます。渡邊に日常のかけがえのない存在に気づかせてくれたものは、壮大で荘厳な交響曲ではなく、一曲のシャンソンでした。愛に生き、歌に生きたシャンソン歌手エディット・ピアフ、そのかけがえのない一瞬の永遠、生命が躍動する日常を象徴として表現したものが本作です。

私たちの多くが忙しさに心を失い、日常を蔑ろにしがちです。穏やかな日常こそが最大の幸福であり、母子を眺める時間こそ無常の喜びである、と渡邊は強く感じています。その情景を形取った作品が本作《Madonna》です。

彼のアート作品は、緑青が日本古来の碧色を蘇らせ、侘び寂びすらも醸し出します。デッサンを基礎とし作られる造形のモチーフと本質は西洋美術に由来し、侘び寂びに通じる表現技法は日本文化に起因します。渡邊は、新たなアート表現として、東西文明の融合に果敢に挑戦してもいます。

本展のタイトルはまさに作家のメッセージを如実に表しています。ベータ崩壊していく原子で構成される我々の身体は儚く消えゆくものです。一瞬であらゆる愛しい人、貴重な文化財を灰燼にしてしまう原子爆弾やその原因たる争いのある日常に同化せず、原子レベルで我々の存在を認め、相互に愛し合い、美しき日常を慈しんでほしい、と渡邊は語ります。本展は入場無料ですので、お近くにお越しの際は、是非、展示会にお立ち寄りください。

渡邊一翔/ Issho Watanabeプロフィール

1988年、京都市生まれ。表現の支持体として3Dペンを活用し、脆く壊れやすい儚さと不変の耐久性を併せ持つ造形表現を追求する。デッサンアトリエを営む父のもと芸術表現を錬磨し続けた。旧居で遭遇した空き巣や放火といった人間の悪意がもたらす災いの経験が、彼自身に人間とは何かをさらに問わせ、これを機に人体表現を通じて、人間そのものを俯瞰的に見つめ捉え直すようになり現在に至る。

1988年 京都市生まれ
2011年 金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科彫刻専攻卒業
2014年 東京藝術大学大学院修士課程美術研究科芸術学専攻美術教育修了
2015年 素描の力 人体デッサン展(名古屋)
2016年~2019年 彫刻セミナー「ロジュエモデリング」主宰
2019年 美術教育の森「美術教育研究室の作家たち」(東京芸術大学大学美術館)
2020年 美術解剖学雑誌(美術解剖学会)に研究ノート掲載
「3Dペンを用いた人体骨格モデル制作法-彫刻制作・教材への可能性を託した型紙の作成から-」
2022年 日本橋N11ギャラリー「Affirmation of Go ―業の肯定―」一ノ瀬健太×渡邊一翔
2023年 ギャラリー汀「継がれゆく線-線で描かれる人体の造形美は平面から立体へ‐」
渡邊一雅(人体画)×渡邊一翔(彫刻)
藝大アートプラザ企画展「藝大神話-GEISHIN」
2024年 藝大アートプラザ企画展「The Art of Tea」

「Atomic Love – Transience of Life – 」展 開催概要

会期:2024年8月18日(日)から30日(金)まで
時間:10:00 ~ 18:00
会場:GARDE Gallery (東京都港区南青山5-2-1 ALLIANCEビル4F)
料金:無料

モデレーター:一ノ瀬健太
スピーカー:渡邊一翔
ゲストスピーカー:木本諒

Scroll to Top