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地方自治体の未来を創る:「地方創生メタバースアワード」説明会レポート

2024年12月19日、GARDEが主催する「地方創生メタバースアワード」に関する自治体向け説明会を開催しました。本説明会には、北海道から沖縄まで全国各地から自治体が参加し、

プロジェクト担当者のGARDE三沢より、本アワードを通じてメタバースが単なる仮想空間にとどまらず、地域の魅力を発信し、経済や文化の発展に寄与する強力なツールであることが述べられました。また、地方自治体とクリエイターが協力し、革新的なアイデアを通じて地域課題を解決することの重要性についても説明しました。

メタバースを活用した他社事例について

近年、自治体によるメタバースを活用した広報活動が注目を集めています。この背景には、デジタル技術の進化があり、新型コロナウイルス感染症拡大によりオフラインイベントが制限されたことや、メタバースのメインユーザーである若年層をターゲットとし、地方移住支援に注力する自治体が増加したことが要因となっています。
実際にメタバースを活用し地方創生に向け実施されたプロジェクトを下記でご紹介します。

【静岡県藤枝市】メタバース体験商談会「ビジネスマッチング」

藤枝市では、メタバースを活用した体験型商談会「ビジネスマッチング」を開催。参加者はメタバース空間内に設置された企業ブースを訪れ、店員役のアバターと即座に音声で商談が可能。従来の対面式商談会とは異なり、実際の会場さながらの臨場感を提供し、新たな形のビジネスマッチングを実現。

【山口県萩市】バーチャル空間でふるさと納税をPR

萩市とSPECTRUMが共同で実施する「萩市×SPECTRUM メタバースふるさと納税キャンペーン」では、来場者がメタバース空間でふるさと納税を体験。公式キャラクター「萩にゃん。」が出迎え、親しみやすい雰囲気の中、返礼品360点が展示されたブースを探索可能。各階に設置された「デジタルポスター」に触れると、ふるさと納税の寄付サイトへ直接アクセスでき、その場で寄付を実施可能。

【秋田県】メタバース万博で移住を促進

秋田県は「あきた移住・交流メタバース万博」を通じて県内への移住促進に取り組んでいる。県内を6つの地域に分け、それぞれの特徴を立体的に表現したパビリオンをメタバース空間内に構築。訪問者は秋田にゆかりのあるキャラクターアバター(んだッチや秋田犬など)を選択して仮想空間を探索可能。各地域の特色を視覚的に理解しながら、さまざまな体験を楽しめる仕組みとなっている。

地方創生メタバースアワード詳細
募集アイデア

本アワードでは、以下のような幅広いテーマでアイデアを募集します。
・観光振興
・スポーツ活性化
・特産品販売
・定住促進
・VR職業体験
その他、地方再生につながる革新的なアイデア

応募概要

募集テーマ:「メタバース技術の活用」で「地方創生」を叶えるアイデア
応募期間:2024.11.01 – 2025.04.30
応募資格:応募者は個⼈またはグループとし、2024年11⽉1⽇現在で日本国内に居住されている高校生以上の方(グループの場合は全員)とします。グループでの共同応募も可能です。共同で応募される場合は、グループを構成する全員の同意が必要です。
応募点数:自治体を指定したご応募・自治体を指定しないご応募それぞれお一人様/1点まで(団体で応募される場合も「1団体につき/1点」となります)
応募条件:応募に際して、地方創生メタバースアワード応募要領に合意し、これらを遵守することを条件とします。

賞金制度:
最優秀賞1名(賞金300万円)
優秀賞1名(賞金100万円)
自治体賞4名(賞金25万円)

※審査はGARDE社内で、原則非公開にて行います。
※受賞式については、後日発表いたします。

GARDEは、グローバルなネットワークと長年培ったデザイン力を活かし、地域社会に新たな価値を創造することを目指します。メタバースを活用したクリエイティブなアイデアが、地域の活性化や課題解決に貢献する未来を実現するため、引き続き尽力してまいります。
公式ウェブサイト(https://garde-metaverse-award.com/

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GARDEで開催のアートプロジェクト:オオタキヨオ 個展「Grid」

GARDE Galleryで定期的に開催しているアートギャラリープロジェクト。今回は、建築的な視点を基盤に、視覚、空間、そして秩序というテーマを掘り下げ空間の認識そのものを揺さぶるアーティスト・オオタキヨオの個展「Grid」を2025年2月21日(金)から3月8日(土)まで開催します。

グリッドは、建築やデザイン、数学、都市計画など、さまざまな分野で用いられる概念であり、規則的に配置された線や点の網目構造で、秩序や構造を視覚的・物理的に示す基本的なフレームワークとして機能します。一方で、他の力学や視覚効果と交わることで、予期せぬ変容が生じることもあります。

オオタは、建築的な視点を基盤に、視覚、空間、そして秩序というテーマを掘り下げ、建築で用いられるグリッド構造を出発点に、それが視覚的・哲学的に持つ可能性を多角的に探求します。特に、視覚的な干渉現象であるモアレを通じて、静的な秩序が揺らぎ、動的で不確定な空間が現れる瞬間は独特のクオリアを私たちにもたらします。

Kiyoo Ota 〈 Flower Diagonal Stainless Steel 〉2023

建築におけるパースペクティブは空間理解の枠組みであると同時に、認識を限定するフィルターとしての役割を果たします。建築の基本形であるキューブを解体し、再構築するプロセスを通じて、遠近法が生む錯覚やその限界に挑戦するオオタ。本展ではこのフィルターを問い直し、空間の認識そのものを揺さぶる作品を展開します。

建築をバックグラウンドに持つオオタならではの視点で、グリッドという普遍的な構造に潜む矛盾と可能性、新たな空間体験を提示します。規則性と揺らぎが交錯する瞬間を通じて、私たちの世界観を再考するきっかけとなれば幸いです。

Kiyoo Ota 〈 Stainless Steel Cube 150 〉2023
Kiyoo Ota 〈 Metabolism 〉2023
Kiyoo Ota 〈 Diamond Structure 〉2024
オオタキヨオ / Ota Kiyoo

1981年 青森県生まれ、秋田県出身
2007年 東京大学大学院工学系研究科修了
2005年 京都大学工学部建築学科卒

主な個展
2024年 「Order」 Gallery TK2
2023年 「Geometry」 大丸梅田店
2023年 「Cosmos」 Miaki Gallery
2023年 「Reality」 阪急メンズ東京 Tagboat Gallery

主なグループ展/アートフェア
2024年 「Art Central」香港
2024年 「ART ART TOKYO」 大丸東京店
2024年 「ART SHINSAIBASHI」 心斎橋パルコ
2023年 「West Bund Art & Design」上海
2023年 「猿楽祭アートフェア」Art Front Gallery
2023年 「CHAPTER PATINA」Amanyangyun(アマン上海)
2023年 「Onbeat Art Show」銀座三越
2023年 「中日韓彫刻招待展」中国文化部、青島彫刻美術館
2023年 「Tennoz canal fes」寺田倉庫WHAT CAFE
2023年 「ブレイク前夜展」 Ginza Six
2023年 「世界の現代アート2023」 大丸博多天神店
INSTAGRAM  https://www.instagram.com/otakiyoo/

オオタキヨオ 個展「Grid」開催概要

会期:2025年2月21日(金)~3月8日(土)※日祝休
時間:11:00~18:00
会場:GARDE Gallery(東京都港区南青山5-2-1 NBF ALLIANCEビル4F)
入場:無料
作品販売予定URL https://www.art-adf.jp/

審査員歴8年の経験が語る未来:GARDE Italy社長 石山幸夫と「ネオラウレアティーアワード2024」

ミラノ工科大学のデザインや建築、都市計画、ランドスケープ、建築保全などの卒業論文から革新的で優れた作品を選出し、建築とデザインの価値を世界に広めることを目的とした「2024年度ネオラウレアティーアワード」の授賞式が、2024年12月12日にミラノ工科大学本部で開催されました。

本年度の審査員としてGARDE Italy社長の石山幸夫が参加し、多くの優れた作品の中から厳選な審査を行いました。
また審査員には、コレンツォ・ビーニ氏(PPCミラノ建築家勲章評議員)、ヴィクトリア・イーストン氏(Christ & Gantenbein パートナー建築家)、ヴァレンティーナ・マルケッティ氏(UniFor および Molteni & C Historical Archives)、ピエトロ・ピッツィ氏(Studio Pizzi 建築家)などの著名な建築家やデザインの専門家も名を連ねました。

ネオラウレアティーアワードは2003年より毎年実施されており、今年度は81名が参加、57の論文が応募されました。受賞論文のテーマには、博物館施設の役割、脆弱な領土における資源の回復、イタリアの島々における周縁性など、現代社会が直面する課題や地域特有の問題に焦点を当てたものが多くみられました。

イタリアから世界へ:卒業制作が描く未来の可能性

GARDE Italy 社長 石山
8年間審査員を務めていますが、毎回新しい発見や感動があり、今回も審査員として学生の皆さんの情熱に触れることができ、大変光栄に思います。審査は著名な建築家や大学教授、エディターなど、多彩な専門家が公平かつ公正に行っており、その質の高さが維持されている点も、このアワードの素晴らしい特徴の一つです。

今回の受賞作品に関しては、イタリア国内のみならず海外での調査や研究を含む卒業制作が多く、最近では社会的課題や環境問題といった地域性や社会性をテーマにしたものが増えていることが特に印象的でした。斬新なアイデアと緻密な研究が融合した作品は非常に高いレベルにあり、毎回深く感銘を受けています。このような作品が生まれる背景には、学生の皆さんの努力と指導者の熱意があると確信しています。今後もネオラウレアティーアワードを通じて、素晴らしいプロジェクトが生まれることを期待しています。

受賞作品

優勝「ポンピドゥー・センターKANAL新館の台座倉庫」
著者:Francesca De Santis
監修:Jacopo Leveratto, Aslı Çiçek

準優勝「アクア・マニフェスタ:レヴァンツォ(TP)における水を扱った実験シアター」
著者:Pietro Dallera, Andrea Frontani, Alessandro Ricci
監修:Jacopo Leveratto

3位「種族間の共同体」
著者:Paolo Grossi
監修:Davide Fabio Colaci

今回受賞した作品は、それぞれが革新的なアイデアと実践を通じて、現代における建築とデザインの可能性を追求しながら、テーマの緊急性や意義を深く掘り下げた点が審査員から高く評価されました。
アワード受賞作品の詳細はこちらよりご確認いただけます。
https://www.adfwebmagazine.jp/design/neolaureati-prize-2024-best-graduates-architecture-theses-of-the-polytechnic-university-of-milan/

GARDEは、引き続きデザインや建築分野でのグローバルな発展を支援し、新しい才能やアイデアの発掘に貢献してまいります。

About GARDE Italy
ミラノに本拠地に置くGarde Italyのオフィスでは、フィレンツェ・ミラノのファッションブランド店舗やレストランの建築・ファサード・インテリアから家具のデザインまで幅広く携わっており、クライアントの様々なニーズに応え、常に独創的でタイムレスな空間作りを目指している。
リテール不動産市場イベント「MAPIC」への参加やミラノデザインウィークでの合同展示会の開催など、不動産・デザイン分野における最新トレンドとイノベーションへの取り組みも積極的に行う。

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GOCA開業記念イベントレポート:3日間で約300名が来場、華やかに幕を開ける

2025年1月31日、GARDEは創業40周年の節目に、ニューヨーク・チェルシー地区に初のアートギャラリー「GOCA by Garde」を開業しました。これを記念し、1月28日から30日までの3日間にわたり、業界関係者やアート愛好家を迎えたオープニングイベントを開催。総勢約300名の来場者が訪れ、大盛況のうちに幕を閉じました。

GOCAは、日本およびアジアのアーティストをアメリカそして世界へ紹介する拠点として、絵画、彫刻、陶芸など多彩なアート作品を展示するGARDE初となる国外でのアートギャラリーです。
GARDEは15年以上にわたり、世界中の若手クリエイターを支援する活動を続けており、このギャラリーの設立もその取り組みの一環です。アートの最先端とされるニューヨーク・チェルシー地区において、日本およびアジアのアーティストの架け橋となる役割を担うGOCAは、新たな文化発信の場として期待されています。

オープニング展では、現代日本のネオポップジャンルを牽引する注目の若手アーティスト、奥田雄太による個展「KAN-SHA BOUQUETS!」が開催。最新シリーズ「花」を披露し、力強い筆使いと鮮やかな色彩で「日常の中にある感謝」を表現した作品が、多くの来場者の共感を集めました。

GARDEが注力する新規事業としてのアート事業は、ニューヨーク・チェルシーから新たな文化の風を送り出し、日本およびアジアの現代アートをグローバルに発信する重要な役割を果たしていきます。

1月28日 オープニングディナー
ギャラリーの新たな門出を祝うオープニングディナーが、ニューヨークの名店「Odo」で開催されました。アート業界に携わる20〜25名のVIPゲストが集い、ワイン、日本酒、シャンパンが提供され、食とアートが融合する特別な夜となりました。

1月29日 VIPプレビュー
この日は、アートコレクターや業界関係者、アーティストが集まり、GOCAの空間をいち早く体験。ニューヨークの名店「Noz」の寿司が振る舞われ、来場者は作品を鑑賞しながら、アートについての熱い議論を交わしました。

1月30日 オープニングレセプション
一般公開初日となったこの日、ギャラリーには想定を超える多くのアート愛好家が訪れ、活気に満ちた雰囲気に。来場者がギャラリーの外で順番を待つほどの盛況ぶりとなり、GOCAへの期待の高さがうかがえました。

GARDE社長・室によるオープニングスピーチ
「当社GARDEは、これまで東京・南青山の本社内でアートギャラリーを運営し、若手アーティストの支援を続けてまいりました。今回、NYチェルシーにギャラリーを設立したのは、その活動の延長であり、新たなステージへの挑戦でもあります。

ニューヨークのアートシーンは常に進化し続けており、GOCAではアジア人アーティストに特化して紹介することで、アートの多様性を広げ、よりグローバルな視点を持つシーンの形成に貢献できると確信しています。

また、GOCAは単なるビジネスではなく、文化的・社会的な影響を持つ意義あるプロジェクトです。ギャラリーを通じて多様な人々がつながり、新たなムーブメントが生まれる場を提供したいと考えています。
今後も、皆様に長く愛されるギャラリーへと成長させてまいりますので、温かいご支援を賜れますと幸いです。」

GOCA 概要

名称: GOCA by Garde
所在地: ニューヨーク・チェルシー地区
スペース面積: 約223㎡(2,400平方フィート)
GARDEが手掛けるアートギャラリーであるGOCAは、ニューヨーク・チェルシー地区に位置する日本およびアジアの現代アートに特化したギャラリー。絵画、彫刻、陶芸を通じて新進気鋭から著名なアーティストを紹介し、文化交流と対話を促進する場として活用予定。

アーティスト情報

奥田雄太 (Yuta Okuda)
日本のビジュアルアーティストで、細密な線画と太いストロークが特徴のミニチュアペインティングを制作する。これまでにニューヨークのMizuma & Kips、台湾の333 Galleryなどで個展を開催。アートバーゼル香港やアートフェア東京2024などの国際的なアートフェアにも出展。近年では上海のPowerlong Museumでも個展を開催。ファッションデザイナーとしてのキャリアを経て、ロンドンのISTITUTO MARANGONIでファッションデザインの修士課程を修了。2022年に自身のスタジオ「Yuta Okuda Studio」を設立し、広告、ブランドコラボレーション、編集プロジェクトなど多分野で活動を展開。

アートギャラリープロジェクトレポート 上村江里「Picking Up My Bones」展が描く時間の蓄積と再構築

GARDE Galleryにて、野生、身体、時空をモチーフにその境界線上で揺れ動く感情や衝動を提示するアーティスト上村江里の個展「Picking up My Bones」を開催しました。(期間:2025年1月24日(金)から2月7日(金)まで)

今回、上村江里さんに作品への想いや今回の個展開催について、お話を伺いました。

2016年から続くシリーズで今回の個展のタイトルでもある「Picking Up My Bones」は、〈自分の骨を拾う〉という意味で【〝過去〟の断片の中から必要なものを〝今〟選び〝未来〟を作る】というテーマを持っています。
本展では、和紙や羊毛、押し花など多様な素材を用いた作品が展示され、時間の蓄積とその再構築を通して、新たな価値を生み出す上村さんの視点が鮮やかに表現されています。

時間の蓄積と再構築──『Picking Up My Bones』の世界

「このシリーズは骨を過去の象徴として登場させ、それらの中から自分にとって必要なものを今選び、未来を作っていくというコンセプトで制作しています。今回の作品の中には、切り取ればただのゴミのように見えるものもありますが、それらのパーツを自ら選び、作品として意味を持たせることで、新たな価値を提示したいと考えています。」

多様な素材を駆使した表現

今回の展示作品の中には、和紙職人と共に制作した和紙を用いた作品もあります。これまではキャンバスや既製の紙に作品を描かれていましたが、「もっと作品の土台から関わりたい」との思いから、素材の選定から制作に関わるようになったということです。

「自分が和紙に混ぜたい材料を持って、工房に行きました。
水の中に材料を入れたり、職人さんが漉いた和紙の上に私が材料を乗せて、またその上に漉きたての和紙で挟んで接着させたり。市販で欲しい画材が見つからないなら自分で作ろうと思いました。」

また、本展ではアーティストにとって初の試みとなる陶芸作品も発表されました。手の形をした立体作品については、石膏原型からシリコン型を取り、陶器として焼き上げるまでに工程を重ねたそうです。ご自分の手の形を使用しているそうで、繊細さと同時に力強さと美しさを感じられる作品となっています。
手の作品の土台の文字〈Rock Bottom〉は〝地球の底〟のニュアンスを含む「底辺」という意味で、一番低い場所に触れている作品です。

「最低な場所にはきっと誰も行きたくないし関わりたくないけれど、そこにもその場所でしか体験出来ないものや気付けない事があって、その経験をどう次に活かすかは自分次第だと思います。蝶々は私の作品によく登場するモチーフの一つで、楽園の象徴です。底の部分や暗く見える作品にも蝶を登場させることにより希望を持たせています。」

人間としての【野生】とは

上村さんが作品制作を続ける上で、重要なテーマが〝野生〟です。

「元々私達が生物として持っている野生的な部分に興味があります。例えば直感や五感もそうだと思いますが、そのように生物として備わっている能力を積極的に使うことで自分自身とより繋がることが出来ると思っています。
例えば私達が普段使う言葉は、自分自身で選択しているようで、実は誰かから影響を受けたものも多いです。それが本当に自分の言葉なのか、もしくは社会や常識から無意識で言わされている言葉なのか、自分の中で自覚的でありたいと思っています。
本当の自分自身を生きるとはどういう事なのか。
元々それぞれが持っている野生的な個性を活かせたら、もっと面白い世界になるのではないかと考えています。」

この考え方は、対話をテーマにしたシリーズ作品にも反映されています。下記の作品では、〝他者との対話ではなく、自分自身との対話の重要性〟を表現しているそうです。
それは上村さんの中で、外部でのコミュニケーションの根本は自己との関係性という考えがあり、自分と対話をしていく必要性を語ります。

「自分の気持ちを最初に感じてあげられるのは自分なので、生まれた感情は無視しないでまずは認めてあげて欲しいです。喜怒哀楽どれも優劣はないと思っています。」

今後の展望について

これから挑戦してみたい事を伺うと、
「今回初めて陶芸作品を展示しましたが、搬入の時に人物の立体を床置きしていた状態にも魅力を感じたので今後は床や壁に立体を直接展示して、より空間全体を使った展示をしてみたいです。」とのこと。

また、今後の目標については「とにかく作品を作り続けること」と語ります。
『Picking Up My Bones』展は、過去と未来、素材と表現、自分と他者──さまざまな境界を行き来しながら、新たな価値を生み出すアーティスト上村江里の世界を体感できる貴重な機会となっています。

上村江里 / ERI UEMURA

1986年 広島県生まれ
2010年 尾道市立大学 芸術文化学部 油画 卒業
2010-11年 渡英 ロンドン滞在
2014年 東京藝術大学 大学院修士課程 美術研究科 油画 修了

主な展示
2012年 グループ展「大学絵画」アキバタマビ21、3331gallery、東京
2012年 グループ展「上村江里・宇都宮恵・升谷真木子のアトリエ」、東京藝術大学 大学会館、東京
2013年 個展 「Life Drawing」Ouchi gallery、NY
2014年 「art award tokyo marunouchi 2014」参加、行幸地下ギャラリー、東京
2014年 個展「Kiss」JIKKA、東京
2014年 グループ展「三越 × 東京藝術大学 夏の芸術祭2014 次世代を担う若手作品展」日本橋三越本店、東京
2014年 「シブカル祭 2014」参加、パルコミュージアム、渋谷PARCO、東京
2014年 「TOKYO DESIGNERS WEEK・SHOP ART WALK」参加、Pretty Ballerinas AOYAMA、東京
2015年 個展「ERI UEMURA」eatable 、東京
2015年 グループ展「In Focus6 卒業生の現在」MOU尾道市立大学美術館、広島
2018年 zine fair 参加、湿地venue、台北
2023年 グループ展「ART KAMIYAMA」麻生邸、東京

INSTAGRAM:   https://www.instagram.com/eri_uemura

上村江里個展「Picking up My Bones」開催概要

会期:2025年1月24日(金)~2月7日(金)※日祝休
時間:11:00~18:00
会場:GARDE Gallery(東京都港区南青山5-2-1 NBF ALLIANCEビル4F)
入場:無料
作品販売予定URL https://www.art-adf.jp/

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