2024年9月28日~10月12日までGARDE Galleryにて開催している、現代美術アーティスト篠原唯紀氏の個展「FROZEN SUPERMARKETS」。
アートや飲食と密接に関わるプロジェクトも多く手掛けるGARDEでの開催にあたり、作品に対する思いやアーティストとしての原点を伺いました。
私たちの生活が他の生物(とくに食物としての動物)を犠牲にして成り立っていることへの葛藤をテーマに映像やインスタレーションとして作品を制作している篠原氏。幼少期からペットとして、また食物としての動物に強い関心があり、その思いが今のアート作品という形を生み出したと言います。
今回の個展「FROZEN SUPERMARKETS」というタイトルも、人間が生物の命を消費して生きている構造に対して「思考停止」(フリーズ)して過ごしている状況を象徴しています。
慣れ親しんでいた音楽と映像から生まれるアート作品
今回展示しているアート作品はアナログやフィジカルで生成された作品を写真や映像に落とし込むことで成り立っています。幼少期から身近に感じていた音楽や、大学でグラフィックを学びながら独学で習得した映像の世界。これらが篠原氏にとってアートの中の言語であり、自身のテーマである「動物」を表現するツールなのです。
一部展示アートのご紹介
《round and round》
映像作品であるものの納品はテープという斬新な切り口が面白い“round and round”。手触り感やモノの変化を大事にしたいというコンセプトからこの手法を採用しています。
音楽活動とアートの繋がりが見事に具現された作品です。
《PRAY FREE》
自身が食べたものを紙に残し記憶させることで命に対する敬意を表現した作品“PRAY FREE”。食べたものすべてを記憶することは難しいですが、摂取したものは自身の糧となり身体の一部となります。食材への感謝の意として使われる「いただきます」は食物に対する敬意であると同時に、命を摂取することへの葛藤も含まれているのではないかと解釈した作品です。
ヴォーカリストQ.iと現代美術アーティスト篠原唯紀の2つの顔
Milk TalkのヴォーカリストQ.iとしても活動する篠原氏。アーティスト活動名(英語表記)のyuqi shinoharaから取ったこの活動名は、音楽に対してよりシンプルな向き合い方を選んだ結果だと言います。
そのうえで、アーティスト活動時は自身のアイデンティティをより分かりやすく、アート作品を見てくれる人に届け、世界観を味わってほしいという思いから本名で活動されています。
自身にとって初の個展である今回のアートイベントでは、マルチに活動する篠原氏だからこそ創り出せるアート作品と世界観を覗くことができます。ぜひ一度ご堪能ください。
篠原唯紀 個展「FROZEN SUPERMARKETS」開催概要
会期:2024年9月28日(土)~10月12日(土)※日祝休
時間:11:00~18:00
会場:GARDE Gallery(東京都港区南青山5-2-1 NBF ALLIANCEビル4F)
料金:無料
篠原唯紀 / Yuqi Shinohara プロフィール
1991年⽣まれ。2014年、広島市立大学芸術学部を卒業後、渡米。ニューヨーク・ブルックリンを拠点に制作。Q.i の名義でミュージシャンとしても活動し、自身のインディーズバンド Milk Talk は、2023年11月にフルアルバムをリリース。花澤香菜《タイムマシーンは突然に》や、オンラインゲームFortnite、Maison Kitsuné秋冬コレクションへの楽曲提供を行うなど、時代の感性を反映したレトロなエレクトロファンクの作風は、国やジャンルの境界を超えて親しまれている。
音楽関連のアートディレクターとしても活躍しており、Mili《Grown-up’s Paradise》、バンドじゃないもん!《ゴッドソング》、ポップしなないで《魔法使いのマキちゃん》などのMV監督、でんぱ組.inc《商売繁盛!元祖電波屋!》や King & Prince《なにもの》、SKY-HI《To the First》などの美術を担当したほか、キズナアイの作詞・衣装デザイン、ウタの「NHK紅白歌合戦」ステージデザインや『ONE PIECE FILM RED』ワールドプレミアで行われた「UTA LIVE in 日本武道館」の演出などを手がけている。
Instagram: @q.imusic
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