野生、身体、時空をモチーフにその境界線上で揺れ動く感情や衝動を提示するアーティスト上村江里の個展「Picking up My Bones」を2025年1月24日(金)から2月7日(金)まで東京・表参道のGARDE Galleryにて開催します。
ギャラリー開催中は作品をその場でご購入いただくことが可能です。ぜひお立ち寄りください。
上村の「Picking up My Bones」の連作は2016年から続くシリーズであり、“生物”として備えている身体という生々しい実体から生じる根源的な野生性や欲求を巧みに描き出す作品を制作しています。朽ちた後のバラバラなパーツの中から必要な物を選ぶ人物の様子は、生身で存在している肉体の脆さと次の世界へ向かう準備を同時にみる事が出来ます。生物として生まれながらに存在している”野生”と、人間としてあるべき姿を示しながらも時代や文化によって変化する”教育”の葛藤は時に無意識や超現実といった非現実の世界を希求する衝動へと駆り立てます。上村は、幻想的な風景の中に衝動が剥き出しになる独創的な物語世界を展開します。
幼くあどけない少女と骸骨の対比は中世ヨーロッパの警句である”メメント・モリ(死を想え)”や”カルペ・ディエム(今を生きろ、その日を摘め)”を彷彿とさせます。美術史は生と死を可視化する試みを絶えず繰り返してきましたが、この試みは現代にも通用する取り組みであり、作家独自の終末観とともに移ろいゆく集団心理を捉え表現しています。
科学や医療の発展とともに現代社会が忌み嫌い公共の場から排除した死を鮮やかに浮き立たせることで、強烈に生命の光を認識させてくれます。自分で自分の骨を拾うというこの矛盾こそ、現代に生きる私たちは今一度考えてみるべきなのかもしれません。カラフルに描かれる少女と骸骨の対比が独特な美的質感となって生命の儚さと、そして人間存在の本質を垣間見せてくれます。
今回の展示ではその物質性も見どころです。和紙、押し花、火、羊毛、墨、岩絵具といった多岐にわたる素材はアナログな身体性をより感じさせ、リアリティーを持って私たち鑑賞者に新鮮な印象を与えてくれます。シリーズ初期のドローイング等の他、最新のペインティングと共に2024年から新たに取り組み始めた陶芸制作による立体を初めて展示します。
上村の作品は、現代社会において重要な視点を提示しています。それは、”野生”という視点から自己を見つめ直し、自身の生命について深く考察することです。骨という過去の遺物を通して、現代に必要な要素を選び出し、未来を創造していく。デジタル全盛の時代にあえてアナログな手法を用いることで、現代的な儀式ともいえる表現を通して、観る者を深い思索へと誘います。
上村江里 / ERI UEMURA
1986年 広島県生まれ
2010年 尾道市立大学 芸術文化学部 油画 卒業
2010-11年 渡英 ロンドン滞在
2014年 東京藝術大学 大学院修士課程 美術研究科 油画 修了
主な展示
2012年 グループ展「大学絵画」アキバタマビ21、3331gallery、東京
2012年 グループ展「上村江里・宇都宮恵・升谷真木子のアトリエ」、東京藝術大学 大学会館、東京
2013年 個展 「Life Drawing」Ouchi gallery、NY
2014年 「art award tokyo marunouchi 2014」参加、行幸地下ギャラリー、東京
2014年 個展「Kiss」JIKKA、東京
2014年 グループ展「三越 × 東京藝術大学 夏の芸術祭2014 次世代を担う若手作品展」日本橋三越本店、東京
2014年 「シブカル祭 2014」参加、パルコミュージアム、渋谷PARCO、東京
2014年 「TOKYO DESIGNERS WEEK・SHOP ART WALK」参加、Pretty Ballerinas AOYAMA、東京
2015年 個展「ERI UEMURA」eatable 、東京
2015年 グループ展「In Focus6 卒業生の現在」MOU尾道市立大学美術館、広島
2018年 zine fair 参加、湿地venue、台北
2023年 グループ展「ART KAMIYAMA」麻生邸、東京
INSTAGRAM: https://www.instagram.com/eri_uemura
上村江里 個展「Picking up My Bones」開催概要
会期:2025年1月24日(金)~2月7日(金)※日祝休
時間:11:00~18:00
会場:GARDE Gallery(東京都港区南青山5-2-1 NBF ALLIANCEビル4F)
入場:無料
作品販売予定URL: https://www.art-adf.jp/