インテリアアーキテクト、ナターシャ・アッシャーが語るサステナビリティの秘訣

NUDE designの創設者兼ディレクターであるナターシャ・アッシャーは、アジアのホスピタリティ業界や不動産業界の大手企業のデザインを手掛けてきました。香港出身で、これまで数々の賞を受賞してきたインテリアアーキテクトのナターシャが、自身のプロジェクトにおいていかにサステナビリティを実現しているのか、その秘訣を語ってくれました。

「一から家を建てる際には、廃水の再利用、空気循環、太陽光発電装置、効率的な冷暖房システムなど、廃棄物管理のシステムづくりをお勧めします。リサイクルされた製品は、コストが高かったり選択肢が限られている場合も多いので、綿、麻、亜麻、リサイクルガラス、セラミックや粘土のタイル、本革など、二酸化炭素排出量が少なく、有害物質の発生が少ない天然素材を使うのが最適です。」

またエネルギー管理においては、家やビルの窓を二重窓や三重窓にして、温度を一定に保つことでエネルギーの無駄を省くことを提案しています。さらに、省エネ機能付きのエアコンや空気循環用のシーリングファンの設置や、オイルラジエーターで室内を暖めるなど、シンプルで実現しやすい方法はいくつもあります。

照明は発熱量が少なく寿命の長いLED電球を使用します。しかし、電球自体はリサイクルできますが、LED内蔵型の照明器具は電球が切れても交換ができず廃棄することになってしまうので注意が必要です。

サステナビリティを実現する上で、廃棄物管理は非常に重要なポイントなので、どのプロジェクトにおいてもまず廃棄物削減プランを考えて、それをベースに全体を設計するそうです。例えば天然石や決まったサイズに加工された天然素材を使用する場合には、サイズやパターンの比率を緻密に計算して、最も効率的に無駄を出さないようにするといったように。

場合によってはヴィンテージの家具を再利用したり、クライアントにとって歴史的価値や思い入れの深いアンティーク家具を使用するのも好きだと言うナターシャ。専門的な視点だけでなく個人的な嗜好を取り入れることも時に必要だと考えています。一方でさほど大掛かりではない改修工事の際には、作り付けの照明器具で破損もなく特別な仕様のものでなければ、そのまま使用して廃棄物や不要なコストを抑えるケースもあります。

環境を守ることとサステナビリティを何より重要だと考えるナターシャは、食材選びから洋服、一般消費財など身の回りのあらゆることにおいてその姿勢を貫いています。「これはもはや個人レベルの問題ではなく、サステナビリティと環境保全を推し進めるためには、政府が旗を振らなければなりません。私たちはコロナによって、コミュニティが世界に与える影響の大きさを思い知らされました。環境問題は、決して他人事ではありません。本当に悲惨な未来が現実のものにならないように、今こそ真剣に取り組みましょう。」と、力強く締めくくりました。

Photo Credits: Lusher Photography

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