モダンに伝統、歴史が入り混じる関西美術館建築5選

前回ご紹介した美術館建築関東編に続き、今回は関西編をお届けします。
千紫万紅な美術館建築をどうぞご堪能ください。

目次

  1. 大阪中之島美術館(大阪府)
  2. 角屋もてなしの文化美術館(京都府)
  3. 兵庫県立美術館(兵庫県)
  4. 奈良県立美術館(奈良県)
  5. 和歌山県立近代美術館(和歌山県)

1.大阪中之島美術館(大阪府)

大きな黒い箱が浮かんでいるような外観が印象的な大阪中之島美術館の建築の核となる思想は「パッサージュ」。幅広い世代の人が誰でも気軽に訪れることができるオープンな空間をテーマに設計されています。展示スペースのある3階から5階までと展覧会入場者以外も利用できるパブリックスペース1, 2階は、吹き抜けとなっているため、一体感のある開放的な空間となっています。壁には黒壁とガラス張りを使い分けることでそれぞれの空間に斬新さが生まれていることも魅力の一つ。建物の内と外を繋げるこの美術館に温かさを感じます。

2.角屋もてなしの文化美術館(京都府)

揚屋建築の唯一の遺構として国の重要文化財に指定されている、角屋もてなしの文化美術館。もとは現在でいう料理屋・料亭を営業していた場所だそうです。寛永18年(1641)に建てられたこの建物は2階建ての木造建築で、近世初期の京都町屋に広く使用されていた格子造りの外観となっています。建物内の壁には白漆喰壁、黄色の大津磨き壁、浅葱色九条土壁など、様々な種類が用いられていますが、中でも赤壁は、当時では高級壁と言われるもので、当時の角屋の格式の高さが窺えます。
展示品は角屋の建物自体と併せて所蔵美術品などを展示・公開しており、江戸時代の雰囲気を体感できる美術館です。

3.兵庫県立美術館(兵庫県)

日本を代表する建築家、安藤忠雄氏の設計による兵庫県立美術館は、美術作品の展示だけでなくさまざまな芸術の融合の場をコンセプトにデザインされています。美術館のシンボルとして有名な円形テラスは、地下から屋上スペースまでの各階を結ぶ螺旋階段です。頭上から差し込む光と影のコントラストが絶妙に調和し、ひとつのアートのよう。風、海、山とそれぞれ名付けられた屋外のデッキは、自然と建物を外から楽しむスペースとなっています。建物自体をアートとして捉えることができるこの美術館は、訪れる時間や季節によって違う表情が見られるそうです。

4.奈良県立美術館(奈良県)

片山光生氏によるデザインのモダニズム建築、奈良県立美術館。南側にある奈良県庁舎、西側にある奈良県文化会館も片山光生氏の設計で、美術館周辺に統一感を持たせています。立法屋根の外観からはコンクリートで造形した軒裏の垂木が覗き、和の温かみを感じます。エントランスホールは2階まで吹き抜けとなっており、天井には照明で特徴的な模様が描かれています。館内はシンプルかつコンパクトな造りで、建築そのものの主張を抑え展示品の良さをより引き出しています。

5.和歌山県立近代美術館(和歌山県)

和歌山城に隣接している和歌山県立美術館は黒川紀章氏によるものです。黒川氏の設計コンセプトである「共生」の思想はこの美術館にもしっかりと反映されています。
伝統と現代の景観に気を配り設計されているこの美術館。中でも多用している屋根庇は和歌山城と同じ形状にすることで周囲の風景に馴染むように計算されています。その他、石段、燈篭、せせらぎ、能舞台、などの外構造園にも日本の伝統を表現。細部に至るまで「共生」にとことんこだわりデザインしたことが窺える建築となっています。

今回は関西の美術館建築をご紹介しました。
アートと建築に囲まれて癒しのひとときをお過ごしいただけたら嬉しく思います。

<出典>
https://nakka-art.jp/
http://sumiyaho.sakura.ne.jp/page/art_museum.html
https://ja.kyoto.travel/tourism/single01.php?category_id=11&tourism_id=704
https://www.pref.nara.jp/11842.htm
https://www.momaw.jp/

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